多文化教育における法理論の構築-イスラム教をめぐる問題を中心に-
Project/Area Number |
15730031
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Social law
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
斎藤 一久 早稲田大, 助手 (50360201)
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Project Period (FY) |
2003 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2004: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2003: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | 教育法 / イスラーム / 多文化教育 |
Research Abstract |
日本の教育における多文化の問題として、日本におけるイスラム教と教育の問題について調査(神戸モスク、東京の大塚モスクなど)し、その実態を把握した。とくにイスラム教「学校」と言えるほど制度的な枠組みは存在しないこと、また学校(大学、幼稚園なども含む)の教育実務的な配慮により、イスラム教と学校文化の衝突はそれほど顕在化していないことがわかった。しかし、後者については、公立の施設ではイスラム教のみに特権を与えているのではないかと判断される可能性もあり、したがって政教分離原則との関係において潜在的な問題があることが明らかになった。 また、ドイツにおける同様の問題として、まずイスラム教を信じる公立学校の教師のスカーフが問題となった事件について連邦憲法裁判所の判断が下されたが、当該判断を中心として下級審の各裁判所の判断及び学説状況を検証した。連邦憲法裁判所ではスカーフを認める趣旨の判決が下されたが、州に留保された部分も多く、判決の評価については今後の動向を見守りながら、研究成果として発表する予定である。同時に伝統的な宗教教育に代わる科目であるL-E-Rについての連邦憲法裁判所による和解案以後のブランデンブルグ州の対応についても調査を行った。これについてはドイツ憲法判例研究会の10月定例会において報告し、その内容は「自治研究」に掲載される予定である。なお、イスラム教の教師のスカーフ判決が下される前までの以上の状況について研究した成果として、「ドイツ教育制度における宗教戦争」教育制度学研究10巻(2003)を公表した。 以上により、日本の学校におけるイスラム教をめぐる問題と、ドイツにおけるそれとを比較検討し、多文化教育の法理論の一分野として、イスラム教をめぐる教育法理論を構築する基礎が完成したと言える。今後は、これをベースに多文化教育における法理論を構築したい。
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Report
(1 results)
Research Products
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