Project/Area Number |
15730048
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Civil law
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
木村 仁 岡山大学, 大学院・法務研究科, 助教授 (40298980)
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Project Period (FY) |
2003 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 信託 / 利益吐き出し / 不当利得 / 損害賠償 / アメリカ法 / カナダ法 / イギリス法 / 信託違反 / 英米信託法 |
Research Abstract |
1.本研究は、英米法における信託違反に対する救済理論を研究し、信託違反に対する損害賠償理論、特に「利益吐き出し」型の損害賠償理論を正当化する根拠を検討することが目的である。本年度はカナダのヨーク大学を訪れ、アメリカとカナダにおける信託違反と不当利得の吐き出しをめぐる学説と判例理論、特にエクイティ上の損失補償を中心に研究を進めた。 2.信託違反に対する損失補償は、信託財産に関する受託者の義務違反に対して認められる賠償であり、受益者に対してなされるものではなく、信託財産に対して賠償がなされるのである。我が国でいう「信託財産の復旧」に該当するものと思われる。しかし、コモン・ロー上の損害賠償と異なり、予見可能性や損害の疎遠性(remoteness)などのテストが存在しない。エクイティ上の損失補償は、原状回復やアカウント(account)では受益者に対する救済として不十分な場合に認められる補充的、二次的な救済であるとされているが、アメリカやカナダにおいては厳格に区別されておらず、アカウントもエクイティ上の損失補償も、受託者の同じ義務違反によって生じた同じ損失を補償させるものとして機能していることが明らかとなった。今後は、英米法における利益吐き出し理論をさらに深く検討し、我が国における損害賠償理論に対する示唆を明らかにしていきたいと考えている。 3.本年はさらに信託違反を証明する際の関連問題として、受益者の書類閲覧請求権も扱った。受益者が信託違反を監視するために、あるいはそれを立証するために受託者に対して信託関係書類の閲覧を請求した場合、受託者がこれを拒否することができるのはどのような場合か、また当該請求権を予め特約で排除することができるか、という点について英米の判例を中心に検討を行った。 4.以上の研究成果をまとめ、できるだけ早期に公表したいと考えている。
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