Project/Area Number |
15730071
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Politics
|
Research Institution | Nagasaki University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
松本 充豊 長崎外国語大学, 外国語学部, 助教授 (00335415)
|
Project Period (FY) |
2003 – 2004
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
|
Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2004: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
|
Keywords | 中国 / 台湾 / 地方政府 / 環境行政 / 民主化 / 改革開放 / グローバル化 / 日本の経験 / グローバリゼーション |
Research Abstract |
本年度は、昨年度の中国(上海市)と台湾(高雄市)での調査・研究を踏まえて、公害対策における日本の経験との比較研究、および両市の環境行政に関する補足的な調査を実施した。 日本の地方政府による環境行政は、各都市の様々な社会的背景や条件の中で展開されてきたが、行政手段に着目すれば行政指導型(例えば大阪市)と公害防止協定型(横浜市・北九州市)に大別できる。日本型の行政指導や公害防止協定が効果的に機能した背景には、企業や行政(地方政府)に対して「圧力」となりうる住民の不満や苦情が存在していたことがあげられる。上海市や高雄市でも、経済発展に伴う住民の環境意識の高まりを背景に、前者では「信訪制度」を通じて住民の苦情が行政に多数寄せられ、後者では民主化の過程で「自力救済」運動と呼ばれる、企業や行政に対する激しいデモや抗議行動が頻発した。また台湾では、選挙を通じて間接的に示される世論という「圧力」が、市長のリーダーシップや行政の対応にも影響を与えた。上海市の場合、こうした民主化の代替的要因として改革開放政策の進展に伴うグローバル化を指摘できる。いずれにせよ、両市では住民の環境意識の高まり、科学データの収集やモニタリング体制の充実など行政能力の向上、国際市場を通じた海外からの「圧力」などにより、企業が自主的に環境管理を行おうとするインセンティブが高まっている。また国際都市として生き残りを図ろうとする両市政府にとって、更なるグローバル化の進展は環境行政の改善に向けたインセンティブとなろう。これらの条件に加えて、主要な汚染源が大企業であることから、今後両市では公害防止協定型の環境行政が相対的に有効であると考えられる。協定の締結により企業が厳しい基準を厳守すれば、環境負荷を抑制できる一方で、対外的にも低汚染工業地域としてのショーウインドー効果が期待できる。
|