19世紀前半におけるイギリス地方都市の経済構造に関するデータベース構築とその分析
Project/Area Number |
15730169
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Economic history
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
岩間 俊彦 首都大学東京, 都市教養学部経営学系, 准教授 (20336506)
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Project Period (FY) |
2003 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2004: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 産業革命 / 工業化 / 都市史 / 近代イギリス / データベース / 社会構造 / イギリスの地方都市 / 経済史 / 経済構造 |
Research Abstract |
本研究では、産業革命の中心地域であるウエストヨークシャーの主要地方都市(リーズ、ブラッドフォード、ハリファクス、ハダスフィールド、ウエイクフィールド)に関する歴史データベースを構築し、これらの都市の経済社会の構造について分析を試みた。 まず、1801年から1851年のセンサス(国勢調査)を用いて、各都市の雇用状況や産業構造について比較検討した。その結果、1850年代までに、各都市は、特定の製造業(梳毛毛織物産業)に雇用が集中していた都市(ブラッドフォード)、製造業が多くの雇用を生み出していたが流通業・サービス業も高い比重をしめていた都市(リーズ、ハリファクス、ハダスフィールド)、製造業の雇用が全体に占める比重は前の2類型に比べて低く、流通やサービス部門の比重が高い都市(ウエイクフィールド)、として分類が可能であることが明らかとなった。 次に、1781・1784・1790・1805・1814年に発行された全国商工人名録と、1822・1830・1837・1853年に発行されたヨークシャーの商工人名録から、各都市の情報をデータベース化した。商工人名録に含まれる人名や事業主体は、同時代に独立して経済的活動を行っていたものと見なすことができる。人名録のデータの集積・整理の後、以下のような事実が明らかとなった。ウエストヨークシャーの主要都市では、雇用という点で製造業の比重が高かった一方で、独立した事業の担い手たちは、各都市における製造業の部門や事業形態を多様化させていた。例えば、繊維部門の製造業だけでなく繊維部門に関連した製造業(機械製造業等)や日常の雑貨等に関する製造業の成長がみられた。さらに、流通業(繊維部門だけでなく様々な原材料や製品、食物)・サービス業(法律、金融、行政他)の成長も確認された。 同時代のウエストヨークシャーの主要都市は、繊維部門の製造業の成長を基礎にしながら、企業家たちが事業を柔軟に展開するような経済的空間となっていた。各都市の産業構造の相違は、各都市における企業家の活動だけでなく、制度的要因(例、都市における公共制度等)を通じて、構築されたと考えられる。産業構造の異なる各都市は、この地域内で分業関係展開し、毛織物工業を中心とする繊維産業の産地を形成しつつ、他部門の製造業や他産業の成長を促して、ウエストヨークシャーという地域の経済発展の基盤となっていたのである。
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Report
(3 results)
Research Products
(2 results)