新制度学派的アプローチによるわが国人権教育30年の「逆説」に関する検討
Project/Area Number |
15730373
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Sociology of education
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
倉石 一郎 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (10345316)
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Project Period (FY) |
2003 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2005: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2004: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2003: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 同和教育 / 在日朝鮮人教育 / 宿題と解放教育 / 教育の拡張的再定義 / 福祉教員(高知・徳島県) / <特殊>概念 / 日本人性 / 語り直し / 同和教育(解放教育) / 教育の<外部>の構成 / システム論 / 問題の書き換え / 逆説 / 福祉教員(高知) / 公立学校での在日朝鮮人教育 / 被差別部落 / 在日韓国・朝鮮人 / マイヤー理論(新制度学派) / 学校社会への包摂 / 近代家族 / 家庭の学校化 / 学校の家庭化 |
Research Abstract |
本17年度の研究は、昨年度に続き事例に密着した記述的アプローチを中心に行った。特に、昨年度に引き続いて高知県における同和教育実践に大きな役割を果たした「福祉教員」に関する現地での資料収集、聞き取り調査を行い、またその事例の相対化かをはかるため、10年遅れで福祉教員制度を導入した隣県の徳島県にまで調査対象を広げた。幸い、高知の場合よりもまとまった形で実践報告集等の資料が得られたので、今後、資料の分析をさらに行い、新制度学派の理論を応用して、教育の病理を教育を持って制すという「合理的神話」がどのように歴史的現実を構成していったかの記述的研究を完成させたいと考える。 また、福祉教員に焦点を当てた同和・人権教育再考の試みの中で、家庭-学校関係の編み直しを分析する視座の重要性に気づいた。その中でも特に、宿題という事象を挟んでの学校と家庭(の背後にある部落・地域)との緊張関係が、同和教育実践史の隠れた縦糸となっていることを取り上げ、「<宿題>から見た解放教育:教育総動員体制論序説」を公表した。本論考では高知の事例だけでなく、大阪市の日之出、松原の布忍における放課後の補充学習や子ども会を舞台にした綱引きにも焦点を当て、同和教育運動がどのように教育の拡張的再定義へと向かっていったのかを分析した。また、第10次までの日教組教研集会での同和教育関係の資料を渉猟し、そこに<特殊>という鍵概念のはたらきによって、後の教育の拡張的再定義とは異質な現実構成が見られることを論じた。 そうした同和教育に関する研究の一方で、もう一つの軸である在日朝鮮人教育については、現在の在日外国人(朝鮮人)教育実践の基底にあって、これまであまり省みられてこなかった問題を、「日本人性Japaneseness」の概念を用いて説き明かす試みを本年度に行った。在日外国人の子どもに関わる一方で、日本人の子どもが均質なものとして表象、構成されることがその論点である。また、共著論文「おびえる日本社会、凝固化する在日朝鮮人問題:あるビデオドキュメンタリーを素材とした"超・メディア社会学"の試み」では、在日朝鮮人教育の熱心な実践家を共感的に紹介する映像作品の中に、どのような暗黙の前提が忍び込んでいるかを分析した。
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Report
(3 results)
Research Products
(15 results)