Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究では市場経済移行期の中国とベトナムにおける国立大学のマネジメント改革について比較研究を行い、両国共通の特徴について抽出を行った。本研究により、次のことが明らかとなった。法務関係では、大学に一定の自治権を保証し、その結果として大学側の自己責任が大きくなりつつある。中国では98年の高等教育法によって、ベトナムでは2003年に大学条例によって、高等教育機関に一定の法人格が与えられた。高等教育機関の第三者評価制度は先進国とは異なり、政府が主導する形で進められている。学務関係では、専攻数の削減によるカリキュラムの弾力化が進行している。近年では既存の専攻を統合する形で削減し、細分化した学問領域を統合していこうとする傾向にある。また、高等教育機関の卒業生の就職は、国の計画に基づいて配置する仕組みから、雇用者と卒業生が条件を出し合って調整を図る方式に変化している。財務関係では、財源の多角化と資源の重点配分化が進行している。両国ともに外国や民間企業から大学への投資を奨励し、高等教育が国家財政に全面依存する方式から大きく変化を遂げつつある。90年代末から特定の専攻や高等教育機関に対する重点投資が行われている。さらに、学生に対する経済的支援では、返還義務のない「助学金」から、優秀者報奨のための「奨学金」や返還義務のある「貸付金」が主流になりつつある。人事関係では、両国とも優秀な人材を確保するための優遇措置が用意されている。中国では「長江特別招聘教授」と称する時限ポストを破格の待遇で用意している。ベトナムでは教師の給与は公務員の中で最も高く、行政職の4割増という措置が図られている。以上のように、中国とベトナムでは高等教育機関に一定の自治権と財政的インセンティブを与えて、相互競争を刺激し、その教育・研究水準の向上を図っていることが明らかとなった。
All 2005 Other
All Book (1 results) Publications (2 results)