北東北地方における昭和戦前期郷土教育実践に関する調査及び研究
Project/Area Number |
15730386
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Education on school subjects and activities
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
土屋 直人 岩手大学, 教育学部, 助教授 (10318751)
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Project Period (FY) |
2003 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 郷土教育 / 公民教育 / 生活教育 / 石橋勝治 / 生活綴方教育 / 北方教育 / 社会科教育 / カリキュラム / 遠野教育 / 生活綴方 / 社会科 |
Research Abstract |
本研究課題への着手2年度目である本年度は、岩手の昭和初期における、小学校教育実践者の教育実践・教育論を主たる検討の対象とした。そこでは郷土教育実践の他、北方教育、生活綴方運動の性格を色濃くする生活教育としての特質、そしてその戦後社会科とのつながり、その戦後社会科の史的背景としての側面が着目された。 先ず、「或る戦前綴方教師の戦後地域カリキュラム考-高橋啓吾の論考から-」(『岩手の歴史地理教育』岩手県歴史教育者協議会編)では、昭和戦前期岩手で郷土教育、「調べる綴方」を実践した綴方教師・高橋啓吾が、戦後初期に隆盛したカリキュラム運動を同時代においてどのように見、その地域カリキュラムをどのように構想すべきと論じていたのかを検討した。戦前に「自由主義教育」を実践していたという高橋は、戦後カリキュラムを「何も新しいものではない」と主張し、新教科・社会科を、米国コア・カリキュラム論の位置付けから積極的に評価していた。高橋が、カリキュラムに狂奔し「功をあせる」戦後初期の同時代の傾向に警鐘を鳴らし、「天下り」ではない、地域に即したカリキュラムの計画への方向性を、宮古地域の実態に即して論じていたことを明らかにした。 第二に、「学級文集にみる石橋勝治の「子供」観と教育観-稗貫郡花城尋常高等小学校赴任当初を中心に-」(『岩手大学教育学部研究年報』)では、戦後「社会科教育の開拓者」といわれる石橋勝治の、戦前岩手時代における郷土教育・生活綴方実践ついて、第二の赴任地、花巻・花城校での最初の学級文集の記述内容を検討した。そこには、「自分の力で成す事を好む」本性を持つ「子供」を尊重し、子どもを「自立」へと促す「自治」の指導を重んずる石橋の教育観が現れていた。そしてそれは、地域の「親様達」に、共に子どもの「自立」に向かおうと親に働きかける学級通信の性質を持っていた。ここには既に戦後「石橋社会科」の、「自治」の民主教育原理が内在していたことを明らかにした。 他方、本年度は、1940(昭和15)年、紀元二千六百年記念として、岩手県教育会が県下各尋常高等小学校の郷土地誌調査の結果を集成した一連の『郷土教育資料』を検討した。それらの数はおよそ五百数十冊に及ぶものであるが、目下、岩手県立図書館、及び各市町村立図書館に所蔵するそれら各書の書誌や内容構成などを、分類整理・分析している最中である。17年度内に、その研究成果の公表が予定されている。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)