パルス強磁場と自由電子レーザーを組み合わせた実験技術の開発と物性研究への応用
Project/Area Number |
15740183
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Condensed matter physics I
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松田 康弘 岡山大学, 理学部, 助教授 (10292757)
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Project Period (FY) |
2003 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | パルス磁場 / 放射光 / テラヘルツ光 / 放射光X線 / 自由電子レーザー / 強磁場 |
Research Abstract |
ミリ波コヒーレント放射光及び放射光X線を用いたパルス強磁場中の物性測定技術開発を行い、ミリ波帯ではパルス構造を利用した時系列スピン共鳴測定、X線では磁場誘起相転移に伴う構造変化をそれぞれパルス強磁場において行った。ミリ波コヒーレント放射光は、京都大学原子炉実験所のライナック施設、X線はSPring-8のBL22XUを使用した。 パルススピン共鳴では、パルス光励起による共鳴条件での磁化変化ピックアップ法、ガン発信器と組み合わせた2色ポンプ・プローブ法の2つの手法を開発し、希薄磁性系RbMnMgF_3に適用した。コヒーレント放射光は水銀灯などの従来光源に比べ、10^3〜10^4倍高強度であるが、有意な磁化変化信号を捕らえることができなかったため、より高強度の自由電子レーザーとの組み合わせが必須であると結論された。実験技術的には本研究で手法は確立されたため、現在東京理科大で建設中のテラヘルツ自由電子レーザーなどとの組み合わせにより、本格的なスピン緩和の研究が行える段階に達した。また、ポンプ・プローブ測定には、マイクロ秒幅のマクロパルスではなく、その内部構造のピコ秒幅のミクロパルスを利用することが今後の課題であり、超伝導検出器などの早い計測システムの構築が重要であることがわかった。超伝導検出器の感度などの基礎試験は本研究において行い、従来のGe : Gaなどと同程度であることを確かめた。 X線領域においては、アンジュレータからの高輝度X線を用いることで、パルス磁場幅の約1ミリ秒間で、X線ブラッグ反射の強度変化を捉えることに成功した。これにより、強相関物質、YbInCu_4の磁場誘起構造相転移を約30Tの強磁場下で観測した。これは、世界初の30T領域での強磁場放射光X線実験であり、国内外から大きな関心が寄せられた。いまのところ論文は会議報告のみであるが、投稿論文を現在準備中である。この技術は、現在世界的に開発が進められているX線領域の自由電子レーザーと組み合わせて、さらに短時間パルスのスピン・格子ダイナミクスの研究へと発展させることも可能であり、今後、自由電子レーザーとパルス磁場の組み合わせ技術が、ユニークな物性研究分野を開拓する有力な手法であることを強く期待させるものである。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)