強磁性相互作用を持つ基底一重項系の強磁場中電子状態に関する研究
Project/Area Number |
15740209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Condensed matter physics II
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
光藤 誠太郎 福井大学, 遠赤外領域開発研究センター, 助教授 (60261517)
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Project Period (FY) |
2003 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | CsFeCl_3 / クロスオーバ / 強磁性相互作用 / 遠赤外分子レーザー / 高周波ESR / 多周波数ESR / ミリ波 / サブミリ波 / クロスオーバー / W-band |
Research Abstract |
CsFeCl_3はABX_3型の六方晶系の化合物の一つで,同様にFe^<2+>を磁気イオンとする化合物としてはRbFeCl_3,CsFeBr_3などが知られている.これらの物質のうちでCsFeCl_3のユニークな特徴は,Cl^-を介したFe^<2+>の擬一次元鎖内が強磁性的交換相互作用により結ばれている点である.CsFeCl_3の基底状態は一イオン異方性により分裂した一重項基底状態と,第1励起状態の2重項の疑スピンS=1の状態として扱われている. 以前に千葉らによって40Tまでの強磁場磁化過程の測定が行われた.磁化は7.5Tを中心に直線的に立ち上がり,いったん飽和に達するように見えた.しかし,さらに33Tにおいてさらにメタ磁性的な増加を示した.7.5Tの磁化の増加は,S=±1の第1励起状態と一重項基底状態のクロスオーバーにより基底状態が入れ替わることで説明された.しかし同様な解析をさらに100Tの磁場まで行ったが,さらなるクロスオーバーは観測されず33Tの磁化の増加は説明されていなかった. 本研究では40Tまでの強磁場と高周波ESR測定を行い,その電子状態についての直接的な測定を行った.7.5Tを中心とする多周波数のESR測定により,シングレット基底状態と磁場により分裂し,下がってきた第一励起状態の二重項のクロスオーバーが観測された.また,基底状態が非磁性から磁性の状態にクロスオーバするため,低磁場では現れてこなかった強磁性相互作用により内部磁場が発生し共鳴磁場が低磁場側にシフトする様子を観測した. また,未解明であった磁化の異常を示す33T付近は7.5T付近と同様にクロスオーバーによる基底状態の入れ替わりをしめす様子が,多周波数のESR測定の結果ら明らかになった.また,この付近のクロスオーバーは7.5Tの場合と比べて33T近傍でかなり急激に励起状態が磁場の上昇とともに下がってくる様子を観測した.
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)