Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究は、金属強磁性の出現メカニズムの解明とそれに関連する現象の理解につながる知見を大規模数値シミュレーションによって得ることを目的としている。そのため、我々は次近接ホッピングを持つ1次元ハバード模型を少数系クラスターの厳密対角化法によって調べてきた。ハバード模型は金属強磁性を記述しうる最も簡単な模型の一つとして良く知られている模型である。しかしながら、この系で近似を用いずに電子間相互作用を取り扱うことが大変難しいことも同時に良く知られている。そのような電子相関を直接シミュレーションで丸ごと取り込むことによって、我々は、ハーフフィリング近傍において完全強磁性と非磁性の状態の間に部分スピン偏極の基底状態が相互作用の幅広い領域で明瞭に現れることをこの模型に見出し、既に報告している。我々は、今年度、そのように新しく見出された部分スピン偏極状態の金属相からハーフフィリングのモット絶縁体相へ到る金属絶縁体転移の振る舞いについて上記の方法で、より詳しく解析した。計算プログラムとしては、出来るだけ大きなサイズの系を取り扱うことができるように、並列化の手法としてMPIライブラリを用いた汎用性のある形に発展させたものを今年度以前から使用している。その結果、部分強磁性が発生する程度のクーロン相互作用がある場合にホールドープされた金属状態からモット絶縁体であるハーフフィリングに至るこの模型の金属絶縁体転移(モット転移)の電荷圧縮率がこれまでに知られていたものと異なる指数で発散する場合があるが、その付近での振舞いがより具体的に明らかとなった。強相関電子系における金属絶縁体転移の理解を更に深めるための格好の舞台を提供するものとなる、この模型の更なる研究につながる重要な知見が得られたと考えている。
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Physica B 359-361C
Pages: 657-659
Journal of Magnetism and Magnetic Materials 272-276
Pages: 487-488
Journal of the Physical Society of Japan 73
Pages: 983-990
110001974377
Physica B (印刷中)