Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
振動する弾性翼の後方に出来る渦パターンを調べた。一様流中に、流れに水平に置かれた翼が流れと垂直に振動するとき、翼から発生した渦は2重渦列をなす。振動振幅をパラメータとするとき、この値がある臨界値を超えると、渦列の向きは流れと平行な状態から、流れ方向と一定の有限角度を持つ方向へと変化する。これをwake deflectionと呼ぶ。ここではこの現象を用いて、翼を弾性体に変更したときの臨界点の変化を調べる事で、弾性が流体と物体の相互作用に及ぼす影響を明らかにしようと試みた。具体的な研究成果は以下のようになる。第一に、この現象は前縁剥離渦が渦列に影響するため、従来の実験や直接数値計算では定量的計測が困難であったが、離散渦法を用いる事で剥離の発生する場所をコントロールし、剥離渦の位置を用いた新しい指標を用いることで対称性の崩れを定量的に表現することに成功した。第二に、翼の材質を弾性体に変える事で対称性が破れる転移点が大きくずれる事を見いだした。この場合でも弾性による変形は大きくはなく、渦と相互作用する事で励起される剥離点の8の字運動が、転移点のずれをひきおこしていることを見いだした。第三に、この系の対称性の破れを記述する適切な量としてマクロな渦の循環を提案し,剛体板と弾性板の両方で転移点が統一的に記述できる事を示した。この結果は、対称性の破れが渦の循環を通じて渦列全体の安定性と深く関わっている事を示していると考えられる。同時にこの量は局所的な剥離挙動と深く関わっており、材質による挙動の違いが転移点の差異を生み出している。つまり転移点のずれは、局所と全体の両方が関係する現象である事が分かった。
All 2005 2004 Other
All Journal Article (4 results) Publications (2 results)
日本ロボット学会誌 23・1
Pages: 101-105
10014102961
日本流体力学会年会2004講演論文集 23
Pages: 526-527
数理解析研究所講究録 1372
Pages: 24-31
Fluid Dyn.Res. (印刷中)
10016460315