極低温マトリックス場を利用した不安定化学種の分子間応過程の追跡
Project/Area Number |
15750040
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Organic chemistry
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
犬井 洋 北里大学, 理学部, 助手 (20348600)
|
Project Period (FY) |
2003 – 2004
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
|
Budget Amount *help |
¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
|
Keywords | 極低温マトリックス分離分光法 / 不安定中間体 / ニトロソオキシド / ナイトレン / 密度汎関数法 / 光反応 / 反応中間体 |
Research Abstract |
平成16年度においては、主にp-位に電子供与基を有するフェニルアジドから光化学的に発生させたナイトレンと酸素分子の反応過程を極低温マトリックス単離-赤外/紫外可視分光法により追跡し、反応機構を議論した。以下にかアミノフェニルアジドを用いた場合の結果を記した。 5%の酸素を含む窒素マトリックス(10K)中で発生させた三重項ナイトレン(1)は、30Kへの昇温に伴い酸素分子と反応し、cis/trans二種類のニトロソオキシド(2)を与えることが確認された。 さらにこの化学種の光反応を追跡したところ、>600nm光照射ではcis-2から4-ニトロアニリン(3)への変換が、>560nm光照射では主に、cis-2から3および2293、1677cm^<-1>に特徴的な吸収をもつ新たな化学種への変換が観測された。理論計算による振動解析および^<18>O_2を用いた同位体実験の結果に基づき解析を行ったところ、新化学種はニトリルオキシド体4であると結論された。これらの観測結果に基づいて反応機構を推測すると、2は光化学的に酸素原子を放出し、これが4-アミノニトロソベンゼンのニトロソ窒素を攻撃した場合には3を与え、ベンゼン環を攻撃した場合にはジオキサゾリン中間体を経由して4を与えたものと考えられる。この機構の正当性は理論計算によって求めたエネルギーダイアグラムやオゾンを用いた実験によっても確かめられた。また4-ニトロフェニル置換されたニトロソオキシドの場合では4に相当する化学種は観測されず、代わりオゾンと4-ニトロニトロソベンゼンが生成した。これは電子吸引性のニトロ基が置換することにより、酸素原子のベンゼン環への求電子的攻撃が抑制され、マトリックス中の酸素分子との反応によりオゾンへ導く過程が優先された結果であると思われる。
|
Report
(2 results)
Research Products
(2 results)