Project/Area Number |
15750063
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Analytical chemistry
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池添 泰弘 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助手 (70334315)
|
Project Period (FY) |
2003 – 2004
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
|
Budget Amount *help |
¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
Fiscal Year 2004: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
|
Keywords | 準弾性レーザー散乱法 / 表面張力 / 表面粘性 / 表面流速 / 対流 / 液液界面 / 界面活性剤 / 振動現象 / 凖弾性レーザー散乱法 / 表面温度 / 熱対流 |
Research Abstract |
本研究では、界面活性剤イオンを含む液体薄膜を作成したときに膜厚が徐々に薄くなる過程におけるイオンの吸着・脱離過程を時間分解準弾性レーザー散乱(TR-QELS)スペクトルを取得することによって解析したところ、実験の結果、液体薄膜の膜厚が薄くなる過程において、表面で数mm/s〜数cm/sの流れが生じていることがわかった。そこで、表面張力や表面粘性、表面流速をも同時に観測できる装置を作成し、熱対流の表面状態を観測することに成功した。 筆者が以前から行っている液液界面における界面活性剤の吸着脱離振動現象の研究においても、液液界面の流れが周囲の物質移動を増幅させて界面でのイオンの一斉吸着現象などを引き起こすことが見出されている。そこで、本研究で作製した装置をこの系へも適用した。レーザー光を2本に分離して、同一液液界面内で2箇所の表面張力を同時に測定した結果、界面の対流発生とそれの直前に発生する界面の波動を計測することに成功した。地球科学において、火山の噴火予知には、地面の振動から予測することが出来るが、液液界面での一斉吸着現象でも全く同様のことが起こっていることがわかり、興味深い結果と言える。また、他の研究グループの吸着脱離振動現象に関する報告には、ほとんどの場合において、このような界面の揺れや液体の流れが言及されているが、本研究のように、界面の揺れや流れと一斉吸着の関係を明らかにした例は無い。一連の実験の結果、非線形現象は、物質移動と界面反応というように、互いに関連しあう素過程が複数存在すれば、ある適当な条件下で発生しうることが予想された。そこで、界面活性剤水溶液の濃度を精密に制御した系で実験を行ったところ、10μM程度の薄い濃度の水溶液をニトロベンゼンに接触させた場合、極めて狭い濃度領域で、液液界面で吸着脱離振動現象が現れることが見出された。本現象は、界面の揺れや対流が全く見られず、1000秒程度の非常に長い時間スケールの周期をもった、これまでにない全く新しいタイプの振動現象であり、現在、そのメカニズムについて、実験とシミュレーションにより機構解明に取組んでいる。
|