Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2004: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
|
Research Abstract |
本研究の目的は,X線回折援用引張試験装置を設計・開発し,次世代マイクロマシンの構成材料として期待されている炭化シリコン(SiC)膜のヤング率・ポアソン比の評価技術を確立することである. まず,マイクロスケールの厚さを有する薄膜等に適用可能な小型引張試験装置の設計・開発を実施した.装置開発に際し,変位増幅機構を有するアクチュエータケースに超小型1軸PZTアクチュエータを収納して,装置の小型化・軽量化を図った.アクチュエータケースの設計・開発は汎用有限要素プログラムANSYSを用いて実施し,同ケース内の変形部の最大応力が降伏応力の1/5以下となるように寸法・形状を決定した.次に,マイクロスケール試験片の作製工程を確立した.試験片標点部寸法は,X線を同部に照射することを考慮して1mm×3mmとし,応力集中による破損を無くす為に平行部両端にR部を設けた. X線回折装置内に引張試験装置を設置した後,予備試験としてマイクロスケール単結晶Si試験片を用いて歪み測定技術の確立を試みた.単結晶Si試験片に種々の引張荷重をかけた状態でX線を照射し,得られた回折パターンのピーク位置の移動量から横歪みを算出した.差動変圧器およびX線回折測定から得られた縦・横歪みより単結晶Siのヤング率・ポアソン比を求めた結果,それぞれ169GPaおよび0.351を示し,理論値とほぼ一致した.したがって,本研究で考案したX線回折援用引張試験法は,マイクロスケール結晶材料の弾性特性評価に有効であることを確認した.次に,スパッタリングによりSi試験片表裏に窒化チタン(TiN)膜の成膜を行い,TiN/Si/TiN試験片の引張試験を行った.TiN膜のヤング率およびポアソン比は成膜時のArガス圧力に大きく依存し,優れた機械的性質を有するTiN膜を形成するためには,低Arガス圧力下で,かつ,薄く成膜することが重要であることを確認した.
|