Research Abstract |
現在,高齢化の進展に伴い,高齢ドライバー数は年々増加傾向であり,その増加傾向をみると,欧米州諸国にくらべ,日本は極めて高い割合で増加している.そのため,高齢者がかかわる交通事故増加が問題になっている.近年の予防安全技術の向上により,交通事故死亡者数は減少傾向であるが,交通事故数はそのような傾向はない.それは"個人差の大きい"高齢運転者が運転しているからであり,まず,運転者-操作系-車両の関係をきちんと解明する必要がある. 本研究では,年々交通事故件数が増加している,高齢ドライバーの行動の特徴を把握し,不安全行動の抽出,その対策を提案している.特に高齢ドライバーは,個人差がとても大きいため,非高齢者層,高齢者層といった年齢の属性として,特性を整理することがとても難しい.そこで,高齢者個人ごとにデータを詳細に採取,個人ごとの特性把握し,不安全行動を1.認知,判断,操作行動という一連の流れである運転行動,2.解剖学的に身体制約から及ぼす操作行動に注目し,その要因抽出を行った. 本研究の前半は,高齢ドライバーの運転行動を,認知,判断,操作という一連の運転行動として定義し,それらがどのような特徴であるかを把握すると同時に,不安全行動を引き起こさせる要因を検討した.その結果,高齢者の運転特性は,身体特性,生活特性と大きく関連しており,経験や個々の意識の違いによるものが大きく,個人特性が大きいことが明らかになった.また,交通環境に応じて,注視移動量を変化できない不安全行動の高齢者がいることが明らかになった. 本研究の後半に関しては,解剖学的に関節可動域が減少する身体特性の制約条件に対し,どのような運転操作不安全行動を起こさせているか,その身体特性と操舵負担の関連性を明確化,その不安全行動を解決するための操舵操作システムの提案を行い,その有効性をシミュレータ上で,実証している.
|