Budget Amount *help |
¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
Fiscal Year 2005: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2004: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
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Research Abstract |
平成15年度は,室内分析装置の立ち上げや現地調査方法の確立を行った.平成16年度は,紀ノ川下流の紀ノ川大堰を境界とした淡水域と汽水域において現地観測を行った.分析項目は,ケイ素・窒素・リンの栄養塩,植物プランクトンを含む懸濁物質である.また,栄養塩の分析には,溶解性有機態・懸濁性有機態を区別した.その結果,2004年7月の水温上昇期間に,淡水域において,珪藻プランクトンが増加し,溶存ケイ素(DSi)濃度が減少する変化が観測された.この時のDSi濃度の変化は,2002年から一年間かけて実施した紀ノ川河川水の平均値+分散値よりも低く,また,2002年,2003年に実施した紀ノ川渓流水の空間変化よりも低いことから,珪藻プランクトンに吸収されたと考えられる.また,このときの窒素濃度の変化から,全窒素TNが変化していないのに対して,溶解性有機態窒素DONが減少し,粒子性有機態窒素PONが増加する変化が観測された.つまり,植物プランクトン(珪藻類以外にも,藍藻類の増加が最も観測された.)の増加時に,溶解性無機態窒素DINよりも溶解性有機態窒素DONの方が吸収されやすいことがわかり,DONを植物プランクトンが取り込むことによって,植物プランクトンなどの粒子性有機態窒素PONに形態が変化と考えられる.この成果は,石塚ら(水工学論文,pp.1519-1524,2005)にまとめた. 紀ノ川大堰は一時的な停滞水域を形成することから,水質の変化に大きな影響を与えることが明らかとなった.しかし,洪水時に堰は開放されることにより,水塊は海域へと流出する.このことは,物資の量は変化しないが,物質の質が変化することを示しており,このような変化が海域の水質・生態系に与える影響については本研究の調査対象外であり,今後取り組むべき課題である.
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