Budget Amount *help |
¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
Fiscal Year 2005: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2004: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Research Abstract |
本年度は,海洋観測塔において現地観測を実施し,WPL補正に基づく渦相関法からCO_2フラックスを算定した.得られたCO_2フラックスと大気-海洋間のCO_2分圧差から気体交換速度を評価し,うねりの存在および波の発達状況の違い(波齢)が気体交換速度に及ぼす効果について検討した.うねりが卓越した波浪場での交換速度の方が,風波が卓越した波浪場の交換速度よりも相対的に小さな値を示すことがわかった.前年度までの研究で,うねりの存在によって砕波が抑制されることが示されており,気体交換が砕波によって促進されるとすれば,交換速度のこのような挙動は極めて妥当なものと考えられる.さらに,風波が卓越する波浪場のデータに着目した場合,同じ風速や摩擦速度であっても,波齢が大きいほど交換速度は増大することが明らかとなった.これは,波齢が大きい波浪場の方が波のスケールが大きく,より大規模な砕波を伴うことを反映しているためと思われる.砕波が気体交換に及ぼす効果を記述するために,速度スケールとして摩擦速度を,長さスケールとして有義波高を用いて定義された風波レイノルズ数を導入した.摩擦速度で無次元化された気体交換速度と風波レイノルズ数の関係を調べた結果,無次元交換速度は低風速領域において風波レイノルズ数と共に減少するが,レイノルズ数が103を超えると増加することが明らかとなった.このレイノルズ数はおおよそ砕波発生の臨界値に対応しており,このような交換速度の増加は砕波による気体交換の促進によるものと考えられる.また,風波が卓越する波浪場の交換速度を風波レイノルズ数に対してプロットした場合,風速または摩擦速度に対しては波齢の違いによって分離していたデータ群が,一つの普遍的な関係を示すことがわかった.このことは,風波レイノルズ数が気体交換速度を定量化する上で有効な無次元パラメータであることを意味する.
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