Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
1.DAZ-1蛋白質と標的mRNAとの相互作用の生理学的意義前年度に、ヒト無精子症因子DAZの線虫における相同蛋白質DAZ-1が、線虫の生殖腺内で結合するmRNAを複数同定した。本年度は、それらの中でも特に生殖腺で重要な働きをし、daz-1変異体で発現が顕著に異常であったfbf-1およびgld-1について、遺伝学的な解析を行った。その結果、daz-1遺伝子がGLD-1タンパク質の発現を既知の因子と協調的に促進することが示された。また、fbf-1と同様にdaz-1が生殖細胞の増殖・性決定に関与することが示された。2.DAZ-1蛋白質と相互作用するCPB-3の生化学的・遺伝学的解析DAZ-1蛋白質とin vivoで相互作用するものとして前年度に単離した翻訳制御因子CPB-3がin vivoで結合しているmRNAを生化学的に同定した。前年度に作製したcpd-3遺伝子欠失変異体の遺伝学的な解析結果とあわせて、cpd-3遺伝子が生殖細胞の増殖、性決定および分化の各局面で異なるmRNAに結合して機能することが示唆された。3.mRNA結合蛋白質SQD-1が結合するmRNAの包括的探索前年度に、mRNAの翻訳や局在化に重要であるSquid/hrp40蛋白質の線虫相同蛋白質SQD-1が結合するmRNAの候補を単離した。本年度は、それらのmRNAの3'UTR中からSQD-1が結合するモチーフを生化学的に同定した。線虫の核酸配列データベースから、3'UTR中にそのモチーフを持つ遺伝子を同定するプログラムを作製し、SQD-1の標的となりうるmRNAの候補をリストアップした。現在、それらのmRNAの細胞内局在を生化学的に検討している。