ショウジョウバエにおける細胞系譜依存的な脳神経回路の発生機構の解明
Project/Area Number |
15770141
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Developmental biology
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
粟崎 健 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (60359669)
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Project Period (FY) |
2003 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | 細胞系譜 / 神経回路モジュール / エンハンサートラップ / グリア細胞 |
Research Abstract |
ショウジョウバエ脳神経回路網の大部分はクローナル・ユニットと呼ばれる、一つの神経幹細胞由来のクローン細胞が作る細胞系譜依存的な神経回路モジュールの集合体として構成されている。本研究は、これまでの研究結果から推測した「ホモフィリックな細胞接着を介したクローン細胞間の接着と、グリア細胞によるクローン細胞群の隔離は、クローナル・ユニットの形成ならびに細胞系譜依存的な神経回路形成に必要である」という仮説を検証することにある。 今年度は主に2つの解析を行った。(1)クローン細胞間に発現する、二つのクラスのホモフィリックな細胞接着因子、[(A)誕生後時間が経過してから発現する分子、FasciclinII(Fas2),FasciclinIII(Fas3)、(B)誕生直後の限られた時間に発現する分子、DE-Cadherin(DEcad)]に注目して、それらの分子のクローナル・ユニットの形成に対する機能を調べた。Fas2,Fas3に関しては、クローン神経細胞特異的なRNA干渉によりそれぞれの遺伝子機能を阻害してその影響を調べたが、クローナル・ユニット形成に対する顕著な影響は観察できなかった。また、DEcadに関しては、その突然変異をホモに持つクローン細胞を体細胞組み換えにより誘導した。その結果、クローナル・ユニット形成に異常が生じることを示唆する実験結果を得た。(2)昨年度構築した実験系を駆使して、発生過程においてクローン細胞群を隔離するグリア細胞を特異的に細胞死により除去し、クローナル・ユニットの形成におけるグリア細胞の影響を調べた。その結果、発生過程においてグリア細胞を除去してもクローナル・ユニットの形成には顕著な影響を生じないことがわかった。 以上より、神経細胞が誕生した直後におけるクローン細胞間の接着がクローナル・ユニットの形成に重要であることが分かった。また、グリア細胞によるクローン細胞群の隔離は、クローン細胞間の強固な細胞接着の結果生じている、つまりクローナル・ユニット形成を積極的に誘導しているというよりはクローナル・ユニット形成の結果生じているということが示唆された。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)