微生物完全長ゲノムの大規模比較解析による適応的分子進化の解明
Project/Area Number |
15770156
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Evolutionary biology
|
Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences (2004) National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (2003) |
Principal Investigator |
伊藤 剛 独立行政法人農業生物資源研究所, ゲノム研究グループ・ゲノム情報研究チーム, 研究員 (80356469)
|
Project Period (FY) |
2003 – 2004
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
|
Budget Amount *help |
¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
|
Keywords | 完全長ゲノム / 分子進化 / 自然選択 / 水平遺伝子移行 / オルソログ(直系遺伝子) / データベース / フレームシフト / 偽遺伝子 / BLAST / ベイズ推定 / 同義置換 |
Research Abstract |
昨年度得た多数の近縁ゲノム間での自然選択強度のデータを整理し、特に水平移行の有無に関して着目しながら、機能と自然選択による進化の関係を明らかにした。これまでの研究で、水平移行した遺伝子では自然選択の緩和が生じている可能性(=同義置換数に対して非同義置換数が比較的多い)が示されていた。一方で、遺伝子の機能に関する考察から、量的に偏ってより多く水平移行している遺伝子のうち、細胞表面構造に関係するタンパク質の遺伝子などでは正の自然選択が示唆された。しかし、そのほかの大量移行の例では、例えば遺伝子発現の制御に関与する遺伝子のように、分子レベルでの生命活動に大きな変化をもたらす可能性は考えられるものの、水平移行と正の自然選択の関係は必ずしも明確ではない。そこで、近縁種(株)間のオルソログにおいて、水平移行した遺伝子とそうでない内在性のものとで、フレームシフトによるタンパクコード遺伝子の読み枠の破壊があるかどうかを比較した。すると、例えば大腸菌K-12株とO157の間では、内在性遺伝子では1.0%(34/3291)でフレームシフトによる偽遺伝子化が見られたが、一方で水平移行したものでは6.9%(23/332)と明らかに水平移行での遺伝子破壊が多かった。これは、水平移行したものではむしろ大部分で自然選択が緩和されているという考え方を指示するものである。本研究により、水平遺伝子移行によって大きな生命多様性がもたらされるが、自然選択という意味では重要度の高いものは小数に限られることが明らかになった。本研究に関しては一部を論文化するとともに国内外の学会等でも発表しており、また全ての結果をデータベース化し可視化するプログラムも作成したので、誰でも容易に大量解析の全情報を活用できるようになっている。
|
Report
(2 results)
Research Products
(3 results)