Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究は、雑種花粉不稔遺伝子S19の単離を行なうことによりアジアイネとアフリカイネ間のF1の花粉不稔の機構を解明しようとするものである。本年度は、(1)S19のゲノムシーケンスを利用した高精度連鎖解析、(2)ゲノムDNAによる相補性検定、(3)S19の候補遺伝子の発現解析を計画した。(1)ではS19の候補領域のO.glaberrimaの塩基配列を完了した。その結果、O.glaberrimaに特有の約100kbの配列が候補領域に挿入されており、この中にS19は存在すると考えられた。この区間では組換えが起こることはまれであると考えられたため、高精度連鎖解析ではなく、塩基配列データから遺伝子予測を行なった。その結果、23個のO.glaberrima特有の遺伝子が予測された。これらの中には、トランスポゾン様のものやきわめて短いペプチドをコードすると予測されるものの他に、シャペロニン様の遺伝子、AP2ドメインをもつもの、ジンクフィンガー様の転写因子、ジャイレースなどの多様なものが存在した。(2)(3)を計画したが、(1)に手間取り、十分な解析をおこなうことができなかった。これは、(1)を慎重に進めたためである。しかしながら、塩基配列情報が得られたため、その中に確実にS19の候補遺伝子が含まれるものと考えている。その他に、遺伝子ではなく、染色体再構成自体が不稔の原因となっている可能性もあるため、減数分裂の観察などの検討を行なう必要がある。本課題の研究期間は終了したが、今後も研究を続け、当初の目的を達成したい。
All 2004
All Journal Article (2 results)
農林水産技術研究ジャーナル 27
Pages: 12-19
10012757096
Genes Dev. 18
Pages: 926-936