Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
コートジボアールの政変の影響で延期していた深根性のアフリカ現地での評価を行った。用いた材料は国際イネ研究所の保有するO. sativaコレクション約230品種、生物資源研究所の保有するO. sativaコレクション約300品種、WARDA(アフリカ稲研究センター)の保有するO. glaberrimaコレクション約70品種である。これら遺伝資源をマリのWARDA陸稲試験畑で慣行法によって栽培した。各品種21株植えて、出穂後14日目に各品種3株の深根性の評価を行った。深根性の評価にはコアーサンプル法を用いた。得られたサンプルを水洗して、最長根長を計測するとともに、地下部乾物重を測定した。同時に地上部の草丈と乾物重も調査した。その結果、深根性には大きな変異があることが分かった。最も短い品種は平均6.4cm、最も長い品種では平均41.4cmであった。根長が10cm以下の品種は強い感光性により、現地の短日条件で早期に生殖生長に移行したと推察された。測定形質間には正の相関が認められたが、地上部・地下部比でみると、地上部に対し地下部が相対的に大きい品種もあった。このことから深根性の評価および選抜には、最長根長だけでなく、地上部・地下部比も考慮する必要があると考えられた。今後は供試品種を100に絞って、二次スクリーニングを行い、深根性品種の同定を行う。前年度、プラスチックカップと3.2%寒天培地を用いることで、根の伸びには品種間差があることを確認した。しかし、大量の遺伝資源を評価には更にコンパクトな方法が求められた。そこで50mlチューブを用いた評価法を検討した。50mlチューブでも約10cmの深さは確保され、プラスチックカップを用いた結果をほぼ再現できることが分かった。今後は実際の圃場の深根性と比較して、簡易選抜法としての評価を行う必要がある。
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