Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
ニューファンドランド島(カナダ)において、クロトウヒ(Picea mariana)林土壌とその火事跡地(カルミア(Kalmia angustifolia)が優占)、12年、24年、50年、100年経ったヒース土壌の化学性の変化と、植物毒との変化を検討した。化学性としてはpH、EC、BrayNO2法のリン、全炭素、全窒素、アンモニア態窒素、交換性塩基を測定し、植物毒としては単純総フェノールを測定した。火事後12、24年経ってもクロトウヒ林は再生せずに、ヒースを形成していた。50年後、100年後は、次第に、パッチ上のクロトウヒ、バルサムモミ(Abies balsamea)が存在し、wood-savannaを形成しつつあった。土壌断面は火事後もほとんど変化が認められず、微地形による変動が大きかった。土壌化学性としては、O層に置いてBray P、pH(H2O)、EC、ExK、ExCa、NH4-Nが時間とともに減少し、CN、TC、ExMgが火事後の時間の経過とともに増加する傾向が認められた。一方総フェノール含量はヒース化により、上昇傾向が認められたが、火事後の経過に伴う増減は認められなかった。以上の結果から、山火事後のヒース化によりO層の土壌肥沃土は減少し、フェノール含量は変化しないことがわかった。以上の結果から、ヒースを形成するカルミアなどが出す植物毒よりも、土壌肥沃土の減少能力の法が、ヒース形成維持に役立っていると予想された。