Research Abstract |
微生物が産生する直鎖β-1,3-グルカンであるカードラン(CD)のラット腸内細菌による分解機構を明らかにするため、分解能を有する腸内菌属の検索を行った。実験1-部分分解CDの資化性試験:セルロースパウダー(CP,対照)またはCDを投与したラットの盲腸内容物を希釈し、選択,非選択の培地に塗布,培養した。各群、各菌種ごとに形成したコロニーから釣菌し、前培養を行った。この菌液を平均分子量が20の部分分解CDを単一の糖質源として0.5%含む培養液に接種した。資化性の判定は、培養後のpHを測定することにより行った。その結果、CP群とCD群とのpHの問に有意差が認められたのはTotal bacteria, Bacteroides、及びClostridiaであった。BifidobacteriaとLactobacilliに差は見られなかった。実験2-CDゲル資化性試験:CDを投与したラットの盲腸内容物は実験1と同様に処理し、8種類の培地に塗布した。培養後、培地上のコロニーは培地の種類ごとに48個、合計384個を釣菌し、前培養を行い菌体液とした。ゲル液化判定用培地は、PYF糖分解性試験培地に、115℃,15分間ゲル化(ハイセットゲル)したCDが0.5%含まれるように添加し、ポリトロンホモジナイザーで磨砕した。上記のゲル懸濁培地に前培養した菌体液を加え培養後、試験管内のCDゲルの液化状態を目視判定した。その結果、分離菌384株を菌属別に見ると、BL培地とGAM培地の嫌気性菌(両培地とも48本中9本),Bacteroides(同5本)、及びClostridia(同10本)において液化が観察された。Bifidobacteria, Lactobacilli, 好気生菌、及びEnterobacteriaceaeでは液化した試験管は見られなかった。これらの結果から、CDの分解能を有するラット腸内菌は、Clostridia属とBacteroides属であることが判明した。
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