Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
アポトーシスのシグナルの中心過程では、ミトコンドリアから遊離されたチトクロムcがApaf-1に結合し複合体アポトソームを形成し、下流のカスパーゼを活性化する。本研究ではこれらのヒト難治固形癌由来アポトソーム阻害因子、および癌治療の標的となりうる制御因子の同定を行う。本年度は以下の成果および研究の進展を得た。(1)前年度までの解析から、アポトソーム活性化制御因子として、MG-修飾型Hsp27やアシルCoA合成酵素(ACS)を見出している。Hsp27は、進行性前立腺癌などで発現亢進している。また、ACSは大腸癌やグリオーマなどの癌細胞で発現亢進が報告されている。本年度は、MG-修飾型Hsp27やACSによるアポトソーム活性制御機構およびその癌増殖、抗癌剤耐性化との関係を検討した。その結果、Hsp27が進行性の前立腺癌でMG修飾されること、およびその発現が前立腺癌の生存に関与することを見出した。また、このHsp27による生存促進にはアポトソーム抑制よりもむしろ増殖促進が寄与していることが示唆され、その際の候補制御因子としてHsp27に結合する新たな分子を見出した。他方、ACSについては、ミトコンドリアのチトクロムc放出のポイントでアポトソーム活性化を阻害すること、そのメカニズムとしてミトコンドリア脂質カルジオリピンの保持が関与することを示した。さらにACS阻害は抗癌剤による細胞死を増強することを見出した。(2)前年度までに、DNAマイクロアレイ解析により、アポトソーム低下癌に選択的発現亢進の認められる遺伝子群を抽出した。またアポトソーム活性低下がんより完全長cDNA発現ライブラリーを構築した。これらを用いて新たなアポトソーム阻害分子の絞り込み、同定を進めた。これらについては現在、いくつかの候補因子が得られており、機能的な検証や癌などの病態との関連の解析をさらに今後進めていく。
All 2005 Other
All Journal Article (4 results) Publications (2 results)
J.Natl.Cancer Inst. 97
Pages: 765-777
Drug Resist.Updat. 8
Pages: 339-343
Oncogene 24
Pages: 1774-1787