Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
(1)セカンド・オピニオン(以下、SO)ついての意識調査アンケートを健常者に対して行った。対象は一般大学生、社会人学生、大学院生約1000人に対して行った。所属学部、大学院は医学とはまったく関係のない文科系の学生である。700名については講義内での実施、回収を基本としたため、回収率はほぼ100%であった。一部(300名)の対象者については郵送方式をとったため、回収率は40%であった。結果は入力を終了し、現在解析途中である。(2)昨年行った医師・医学生に対するアンケート結果を解析、患者に対するものと比較検討し、医療従事者に対するSOのあり方の提言を作成した。医療従事者に対して求められていることは以下のとおりである。SOに対する医師の意識・見解を統一すること、主治医が積極的に、患者にSOを求めるようすすめること、SOを求めるために必要な事柄を一般の患者に啓蒙すること、診療情報を持ってSOを求めてきた患者に対しては、通常の診療範囲内で説明を与え、患者に今後の診療継続有無の判断を委ねること。診療情報を持っていない患者には、SOの求め方を説明し、主治医に診療情報提供を求めるよう指示すること、可能であれば保険診療外でSO外来を設置すること。主治医から診療情報の提供を受けてSOを得ることにより、無駄な繰り返し検査などの費用が発生することなく患者が適切な治療を選択できたり、同じ病気であちこちの医師を渡り歩くドクターショッピングを防ぐことが可能となる。また医師がSOによる"同僚審査"を意識することで、過剰医療、不適切な医療が減少し、これも医療費の削減につながる。調査対象の医療従事者においてはまったくといっていいほどこのような意識の欠落が認められ、医学教育めあり方の見直しの必要性も示唆された。