Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
平成15年度の検討において血管新生物質である、エンドスタチンのcDNAを嫌気性菌であるBifidobacterium longumの発現ベクターであるpBR322に組み込んでエンドスタチシ蛋白の発現を検討したが、Bifidobacterium longumはエンドスダチン蛋白を産生することはできても、それを菌体外に分泌することはできないことが明らかとなった。この結果をうけ、平成16年度は、乳酸菌(ラクトバチルス デルブリュッキ)で菌体外に産生蛋白を分泌させることが可能なベクターであるpSECE1を明治乳業から譲り受け、このベクターにpProEXHTベクターに組み込まれていた新たな血管新生抑制物質であるヒトKringlel-5のcDNAをを制限酵素にて切り出し、組み込んだ。次に、ヒトKringle1-5のcDNAを組み込んだpSECE1ベクターをエレクトロポレーション法にてラクトバチルスデルブリュッキに遺伝子導入し、アネロパックで嫌気性下に培養した。さらに、ラクトバチルス デルブリュキをLysis B bufferにメルカプトエタノールとウレアを加えた溶液を作成し、これをラクトバチルス デルブリッキに加えたのちにボルテックスで溶菌させ、菌体の蛋白を採取した。この蛋白と培養液を共にウエスタン ブロッティングを行いヒトKringle1-5蛋白の産生を確認した。つぎに、ヒトKringle1-5のcDNAをを組み込んだラクトバチルス デルブリュッキを培養した培養液からHis-tag catcherを用いて抽出したHis-tagをラベルしたヒトKringle1-5蛋白をウシ毛細血管内皮細胞の培養液中に添加し、生細胞数測定試薬SFを用い、呈色反応をマイクロプレートリーダーにて測定し、細胞増殖能を対照群と比較した。その結果、内皮細胞の増殖はヒトKringle1-5蛋白により約35%抑制された。この結果を受け、平成17年度ではヌードマウスに肝癌細胞株を接種したモデルにたいしヒトKringle1-5のcDNAを組み込んだラクトバチルス デルブリュッキを投与し抗腫瘍効果を検討する予定である。