Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
D群色素性乾皮症(XPD)にコケイン症候群を合併した稀な臨床例(以下XPD/CS)の解析を通じたDNA修復機構の解明に関する研究。XPD/CSは世界的にみても、当時2例の報告をみるのみで、病態は明らかでなかった。既報告例ではXPD蛋白のC末端近くにアミノ酸置換をもたらす遺伝子変異が報告されていたが、自験例では、N末端近くの第1ヘリカーゼドメイン内のATP結合部位にG47Rのアミノ酸変異をもたらす遺伝子変異を認めた。この結果を2003年IID2003(マイアミ)にてXPD/CS3症例目として報告した。以後は樹立された線維芽細胞株を用いて、英国Sussex大学Alan Lehmann教授と共同研究を進め、XP/CS例では転写に共役したDNA損傷修復の際に、ゲノムDNAが剪断されてしまうことをコメット・アッセイなどで確認し、報告予定である(投稿中)。また自験例で認めたG47R変異はXPDを構成成分とする基本転写因子TFIIHの活性を著しく低下させることで重篤な症状(2歳で発ガンして死亡)をもたらすと考えられたが、同一の変異をもつ英国人が30歳代まで生存する比較的軽症なXPとして報告されていたことが明らかとなり、この逆説的な現象も報告を予定している。(JIDアクセプト掲載予定)