Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
アトピー性皮膚炎は、環境抗原に対するアレルギー反応により生じると考えられ、非アトピー健常人と比較すると抑制型の免疫応答、すなわち免疫調節型T細胞の誘導が障害された状態ではないかとえられる。そこで申請者は、アトピー性皮膚炎の皮膚病変内における免疫調節型T細胞の解析と免疫調節型T細胞のクローンを樹立することにより将来的にアトピー性皮膚炎の治療に対する考えを得たいと考えた。本年度はアトピー性皮膚炎患者の皮膚切片(患者の同意を得た上で採取する)および末梢血よりT細胞と抗原提示細胞を分離しダニ抗原の存在下で培養することにより、サイトカインレスポンスの調節機構を検討した。そのために現在GM-CSF (granulocyte-colony stimulating factor)とIL-4 (interleukin-4)の存在下で皮膚より分離したリンパ球系血球細胞および末梢血リンパ球を培養し、抗原提示細胞の増幅を行っている。この目的でRT-PCR法を用い左記のGM-CSFおよびIL-4のcDNAを分離し、発現ベクターにクローニングしマウス線維芽細胞の細胞株(NIH3T3)に遺伝子導入し、当該サイトカインを産生する細胞株の樹立を行った。この細胞の培養上清をヒトアトピー性皮膚炎患者より分離した抗原提示細胞の培養に用い現在細胞を増幅している。この培養を通し抗原提示細胞は樹状の形態を取るようになり、また、FACS解析でHLA-DRの発現の亢進を示し、文献的報告にあるような抗原提示細胞の性状を示しつつある。また、異なったドナーから採取したT細胞との混合培養により著しい増幅をしめす。