早期飲酒とアルコール依存症の発症と病態に関するポストゲノム研究
Project/Area Number |
15790631
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Psychiatric science
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
山本 恵 札幌医科大学, 医学部, 講師 (90347170)
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Project Period (FY) |
2003 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | アルコール依存症 / エタノール / 早期暴露 / 動物モデル / 神経幹細胞 / 脳由来神経栄養因子 / 分化 / 神経回路網 |
Research Abstract |
本研究は早期のエタノール暴露がその後の飲酒行動に及ぼす影響とその分子機構の解明を目的とする。本年度は初年度に引き続き、神経系の分化・発達に及ぼすエタノールの影響を、特に神経幹細胞への作用という点に注目して以下の検索を行った。 1、胎内エタノール暴露ラットの作成と神経幹細胞に及ぼす影響についての検討 ヒトでの器官形成期に相当する妊娠10〜14日目のラットに、エタノールを強制経口投与したところ、約3割の胎仔に中枢神経系の形成不全を認めた。中枢神経系の形成不全を伴わずに生まれてきた仔を胎内エタノール暴露モデルとし、その脳から単層培養法により得た神経幹細胞を用いて、その増殖能および分化誘導能を調べたところ、胎内エタノール暴露が胎仔脳内の神経幹細胞の機能異常を引き起こすことが確認された。 2、神経幹細胞を用いた検索 エタノールが神経幹細胞の分化および神経細胞の生存に及ぼす影響を検索するため、胎齢14日のラット胎仔から得た神経幹細胞および胎齢18日のラット胎仔の大脳皮質から得た初代培養神経細胞を同濃度のエタノールで処置し、その分化誘導能および生存率を比較した結果、エタノールは神経細胞の生存に影響を及ぼすよりもかなり低い濃度から神経幹細胞の分化を抑制することが見いだされた。さらに、脳由来神経栄養因子やinsulin-like growth factor-1などの神経栄養因子の同時投与により、このエタノールによる神経幹細胞の分化誘導抑制作用が減弱されることがわかった。 これらの結果から、エタノールによる神経幹細胞の分化誘導抑制作用および神経細胞障害性により引き起こされる脳内の神経回路網の改変が、アルコール依存症の病態基盤に深く関連している可能性が示唆された。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)