Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
大腸癌や膵癌などで、転写関連因子であるHigh Mobility Group A1(HMGA1)が癌特異的に過剰発現していること、また、HMGA1蛋白合成の抑制をもって膵癌抑制効果が得られる可能性を、昨年度までの研究で明らかにしてきた。本年度は、膵癌と同様、難治性消化器癌である胆管癌におけるHMGA1発現を検討し、HMGA1が臨床的に胆管癌の腫瘍マーカー、予後因子、遺伝子治療の標的になりえるか否かを解明することを目的とし、以下の研究を進めた。手術的に切除した肝内胆管癌6例および非腫瘍性肝組織26例を用いて、HMGA1特異抗体による免疫染色を行い、HMGA1蛋白発現について検討した。陽性コントロールとして、膵癌肝転移6例に対して同様に免疫染色を行った。膵癌肝転移巣では全例にHMGA1による核強染像を認めた。一方、膵癌肝転移巣に隣接する非腫瘍性肝組織や、26例の非腫瘍性肝組織においては、肝細胞の細胞質に非特異的染色(バックグラウンド)を認めるも、肝細胞や胆管上皮細胞における核染色性を認めなかった。一方、肝内胆管癌6例においては、HMGA1が癌細胞核に特異的強発現しているものを50%に認めた(核濃染の陽性率を20%と設定した場合)。以上より、肝内胆管癌発生には、HMGA1が深く関わっている可能性が考えられる。HMGA1が肝内胆管癌における腫瘍マーカー、予後因子、遺伝子治療の標的になりえるか否かは、多数例での再検討が必要であり、今後の課題と考えている。
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日本癌学会64回総会記事
Pages: 503-503
Cancer Gene Ther 11
Pages: 633-641