Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
犬を用いて確立した「動脈壁の中膜の損傷後に内膜の欠損を加えた」頸動脈解離性動脈瘤モデルをさらに発展させる形で、実際の臨床例に見られるような紡錘状の動脈瘤の作成をめざすべく、解離性動脈瘤発展モデルを考案中である。ビーグル犬(約10頭)の頸動脈に対しさらに血管壁の損傷の範囲を広くして手術操作を加え、経時的変化を血管撮影・超音波血流計で経過観察している。血管壁の損傷が大きいと高度狭窄から閉塞を示す傾向があり、現在のところ紡錘状の動脈瘤は作成できていない。さらに血管壁の損傷方法の検討を行い新たな解離性動脈瘤モデルの確立をめざしてゆきたいと考えている。ただ、前回のモデルで示されたように嚢状の動脈瘤は作成されている。まずは、これらの動脈瘤壁および親血管に対してマイクロカテーテルおよびバルーンカテーテルなどを用いた血管内手術手技にて内膜増殖因子の導入について予備実験をしている。また組織学的検討も加えて有効な増殖因子の導入法について検討中である。内膜増殖因子の導入の一方法および治療法のオプションとして、これらの増殖因子を膜に導入させたカバードステントグラフトを用いることを考えている。現在予備実験としてステントをビーグル犬の頸動脈に経カテーテル的に留置し、留置に対する技術的な問題、ステントに対する血栓形成などの形態変化について検討中である。また、カバードステントに使用する膜の材質・最適な増殖因子の導入方法についても検討を続けているところである。