Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
2種類の抗Mfrp抗体を作成した。Mfrpのシークエンスをもとに、親水性の部分を選び、タンパク質二次構造予測結果によりターン構造を確認し、タンパク質分子表面に存在する部分を推定した。親水性部分5か所のうちトランスメンブレン後方で細胞表面に存在しているのは3か所だった。このうち2か所を抗原ペプチドとして、抗Mfrp抗体を作成した。タンパク質の解析では、rd6マウスと遺伝的バックグラウンドが共通であるC57BL6/Jマウスをコントロールとし、週齢をそろえたそれぞれのマウスから網膜および網膜色素上皮を摘出し、サンプルバッファーに溶解した。得られたタンパク質量を吸光光度計を用いて測定した後、それぞれのマウスのサンプルをSDS-PAGE法にて電気泳動した。これをウエスタンブロッティング法にてPVDFメンブレンに転写し、抗体を用いて解析した。MFRP-5ペプチドに対する抗体によるwestern blottingで9週齢のマウスにおいてC57BL6/Jマウスとrd6マウスでともに約58kDaの部位でバンドを認めた。発現量はC57BL6/Jマウスに比べてrd6マウスで増加していた。20週齢のマウスから得られたサンプルに対するwestern blottingではC57BL6/Jマウスとrd6マウスでともに約58kDaの部位でバンドを認めたが発現量の差は9週齢のマウスでの結果よりさらに大きくなっていた。このバンドの分子量は短縮型異常MFRPタンパク質の分子量に相当し、これらの結果から、rd6マウスでは、Mfrp遺伝子異常により発現される短縮型異常MFRPタンパク質が経時的に増加し、この異常タンパク質の集積のために視細胞変性が引き起こされている可能性があると考えられた。