Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は,脳内,特に海馬における神経新生が生活環境の変化や咀嚼器官の変化によって影響を受けるか否かを明らかにすることである.昨年度は,軟食と硬食による食物性状の違いが海馬の神経新生に及ぼす影響について観察し、7、16,24週齢ラットでは軟食と硬食との間に神経の新生率に有意な差があることを報告し、咀嚼運動(よく噛む事)と神経新生とは、何らかの関係があることを示唆した。 その一方で、脳内で神経新生が起こる部位は、海馬以外にも前脳の脳室下帯でも頻繁に起こることがよく知られている。このようなことから、今年度は,前脳の脳室下帯における神経新生と食物性状との関係について観察した.実験方法は、昨年度と同様にWister系雄性ラットを用い,3週齢の離乳直後から軟食(粉末)と硬食(固形)の実験群に分けそれぞれ24週齢まで飼育した.屠殺2時間前にBrd-U(bromodeoxyuridin)を腹腔内投与し,その後麻酔下で4%パラホルムアルデヒドにて灌流固定を行い,脳を摘出する.そして,前頭断凍結連続組織切片を作製し,免疫化学組織学的手法にてBrd-U抗体を反応させ,DAB(Diaminobenzidine)基質によってBrd-U陽性細胞の発色を行った.その結果、前脳の脳室下帯におけるBrd-U陽性細胞の数は、7、16,24週齢ラットにおいて硬食と軟食群の間で明らかな差は認められなかった。 このようなことから前脳の脳室下帯では、食物性状の違いによる神経新生への影響が少ないことから、これまでに報告してきた海馬内での神経新生率の変化は、咀嚼運動(噛む事)による特異的な現象であることが示唆された。特に、咀嚼運動を司る咀嚼筋の活動が深く関与していることが今回の実験で推察された。
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