Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
1)顎関節より採取された滑液中細胞の単離、培養に成功し、これらの細胞から骨吸収能を有する破骨細胞の誘導系を確立した。これらの細胞をビタミンD3やPGE2の刺激下で培養することによりTRAP陽性の多核巨細胞が形成され、象牙切片上の培養では吸収が認められた(走査電顕にて確認)。また、この滑液中細胞から培養にて増殖する線維芽細胞様細胞を継代培養し、その表現形を同定。ヒト線維芽細胞マーカー、ビメンチン陽性、マクロファージ、樹状細胞マーカー陰性であり、滑膜由来の線維芽細胞である可能性が示唆された。これらの細胞と健常人末梢血単球との共培養でも破骨細胞を誘導し、滑液中線維芽細胞様細胞の破骨細胞分化支持能が証明された。これにより、顎関節滑液中には破骨細胞前駆細胞、破骨細胞形成支持細胞の存在が明らかとなり、顎関節症における関節破壊、変形などの病態形成に大きく関与していることが示唆された。(以上論文投稿中)2)顎関節症患者の関節滑膜を採取、培養し、それらの細胞の表現形を同定した。これらの細胞は、ヒト線維芽細胞マーカー、ビメンチン陽性、マクロファージ、樹状細胞マーカー陰性であり、滑膜由来の培養線維芽細胞であることを確認した。また、これらの細胞も健常人末梢血単球との共培養で象牙切片の吸収能を有する破骨細胞を誘導し、顎関節滑膜細胞の破骨細胞分化支持能を証明した。以上のことより、顎関節内では破骨細胞前駆細胞、破骨細胞形成支持細胞が存在し、病状の変化による液性因子等の相互作用から顎関節疾患における骨変形や病態形成に関与していることが示唆された。