Research Abstract |
1.授業案作成:ヒヤリ・ハット事例への対応に関する教育について,看護学教員から聞き取りを行い,現実には臨地実習における実際場面での指導が主であり,かつ重要と考えられていることが示唆された.学内での講義・演習でも必要な学習・教育内容ではあるが,実際の授業展開は難しいとの意見が得られた.ヒヤリ・ハット事例を起こした際に患者にどのように対応するかについては,単なる知識や技術の修得・教授ではなく,体験的に学生の人間的・情意領域の成長を促す授業展開が必要であり,これまで行ってきた学生参加型授業として展開してきた授業案を基に,その時の患者の思いや願いを,ヒヤリ・ハットを起こした看護師,病棟管理者,リスクマネージャーのそれぞれの立場で出来事を分析したものと比較し,議論することで,当事者である患者にどのように向き合い,対応していくことが重要であるかを学ぶことが可能であると考えた.授業案は,全看護教育カリキュラム・医療安全教育における対時間効果や参加学生の学びの公平性などについて,今後さらに実践と検討を重ねる必要がある.また,評価は客観テストのみの評価ではなく,卒後の臨床経験の中で学習の効果が判定できるような,中・長期的な学習成果の評価も含めた,適切な評価方法を考えることが今後の課題と考える. 2.ビデオ教材を用いた基礎看護技術学習:初学者である学生と熟達者である看護師(看護教員)ではビデオの情報の読み取りの構造が異なることが示される結果が得られた.学生が自己学習でビデオ教材を単に十分に視聴するだけでは技術が習得できないため,熟達者と同様の,構造化した読み取りが出来るような学習支援が必要であると考えられる.このことは今後進展することが予測される映像教材のオンライン配信,電子媒体を用いた遠隔学習などの際に注意が必要であることを示しており,今後さらなる検討が必要である.
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