イオン液体によるマイクロ抽出を用いた水溶性農薬成分の超高感度分析法の開発
Project/Area Number |
15H00304
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
化学
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Research Institution | 千葉県警察本部刑事部科学捜査研究所 |
Principal Investigator |
濵本 拓也 千葉県警察本部刑事部科学捜査研究所, 地方公務員
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Project Period (FY) |
2015
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2015)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2015: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | イオン液体 / マイクロ抽出 / 薬毒物分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
水溶性農薬成分であるパラコート(PQ)およびジクワット(DQ)は, 製剤が容易に入手できることから中毒事案が絶えない成分であり, 法科学の実務では, 中毒者の体液や遺留された飲料などのような中毒現場から得られた各種水性試料についてPQ・DQの検査を行う機会が少なくない. しかし, 2価の陽イオンで高親水性のPQ・DQは水性試料からの抽出が容易ではなく, 分析には困難が伴う. 本研究では, 抽出剤としてイオン液体(IL)を用いることで水性試料中PQ・DQの迅速・簡便・高効率な分離濃縮法を開発すること, およびその応用により水性試料中PQ・DQの超高感度分析法を確立することを目指した. まず, 水中PQに対する抽出能を種々のILについて検討したところ, 構成陽イオンが高親水性かつ構成陰イオンが高疎水性であるILほどPQ抽出能が高くなることが分かった. また, この知見を基に創製したILである1-エチルー3-メチルイミダゾリウム・ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)アミド([EMIm][NNf_2])が, 分配比にして約1億という極めて高いPQ抽出能を持つことを見出した. さらに, 試料水溶液中でIL構成イオンの各塩を少量ずつ混合することでILの生成と同時に対象成分の分離濃縮を行う手法であるin situ溶媒形成マイクロ抽出(ISFME)法に着目し, [EMIm][NNf_2]によるISFME法を水中PQに適用したところ, ほぼ100%の定量的回収と1000倍もの高倍率濃縮を, 特殊な装置を必要としない簡便な操作と10分程度の短い抽出時間で達成できた. 加えて, ISFME法で得られた[EMIm][NNf_2]試料について高速液体クロマトグラフィーによる分析を行うことで, 数ng/mLレベルの水中PQ・DQを定性・定量することも可能であった. 今後は, 本法を幅広い薬毒物分析の実務に応用できるように, 更なる検討を進めていく.
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)