Project/Area Number |
15H05787
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Immunology
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷口 維紹 東京大学, 先端科学技術研究センター, 客員研究員 (50133616)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩倉 洋一郎 東京理科大学, 研究推進機構生命医科学研究所, 教授 (10089120)
西尾 純子 東京大学, 生産技術研究所, 特任助教 (40598679)
藤尾 圭志 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (70401114)
柳井 秀元 東京大学, 生産技術研究所, 特任准教授 (70431765)
根岸 英雄 東京大学, 生産技術研究所, 特任助教 (60514297)
山本 一彦 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80191394)
生島 弘彬 東京大学, 生産技術研究所, 特任助教 (80719154)
|
Project Period (FY) |
2015-05-29 – 2020-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2019)
|
Budget Amount *help |
¥171,990,000 (Direct Cost: ¥132,300,000、Indirect Cost: ¥39,690,000)
Fiscal Year 2019: ¥29,770,000 (Direct Cost: ¥22,900,000、Indirect Cost: ¥6,870,000)
Fiscal Year 2018: ¥31,330,000 (Direct Cost: ¥24,100,000、Indirect Cost: ¥7,230,000)
Fiscal Year 2017: ¥34,450,000 (Direct Cost: ¥26,500,000、Indirect Cost: ¥7,950,000)
Fiscal Year 2016: ¥36,010,000 (Direct Cost: ¥27,700,000、Indirect Cost: ¥8,310,000)
Fiscal Year 2015: ¥40,430,000 (Direct Cost: ¥31,100,000、Indirect Cost: ¥9,330,000)
|
Keywords | 免疫シグナル伝達 / DAMP / 自然免疫受容体 / HMGB1 / 炎症・がん / 恒常性維持 / 自然免疫 / 炎症 / がん / 自己免疫疾患 / 免疫原性核酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、自然免疫系を基軸とした生体の恒常性維持機構の解明と、その破綻がもたらす疾患の治療基盤の確立を目的としている。 HMGB1(High-mobility group box 1)について、in vitroで好中球がHMGB1に対する遊走能を示す知見を得、HMGB1は好中球遊走を介して炎症を促進していると考えられた。さらに、HMGB1の90番目のリシンがアセチル化を受けることを見出し、このリシン残基をアルギニンに置換したHMGB1変異体ノックインマウス(リシンのアセチル化が行えずHMGB1が細胞外に放出されない)を作製した。死細胞から放出されるDAMPsの探索を行い、免疫抑制性の新規DAMPs、PGE2(prostaglandin E2)を同定した。PGE2が、過剰な炎症を抑え臓器障害を抑制すること、また抗腫瘍応答を弱めることを明らかにした*。 IMF002(免疫抑制性化合物)の標的として低分子核内RNA(snRNA)を同定した。本snRNAがマウスやヒトのRAやSLEの血清中で有意に増加することを見出した。遺伝子欠損マウス、トランスジェニックマウスの作出に成功している。また、IMF003が抗腫瘍作用を示すことを発見し、その機構としてSTINGに依存的なシグナル経路の活性化によりI型IFN応答を誘導するという知見を得た。 胆嚢由来SP-Dが腸内細菌叢、及び腸管組織の恒常性維持に寄与していることを示した。一方で、腸炎罹患時には肝グルココルチコイド産生を介して胆嚢SP-D産生が亢進することを見出し、肝-胆-腸内細菌を基軸としたSP-Dを介する調節機構の存在を明らかにした*。 複数のC型レクチン受容体について、がん細胞排除機構への関与を検討した結果、Dectin-2が肝クッパー細胞を介して転移性肝がん細胞の排除に寄与していることを明らかにした*。(*は論文発表を行った)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炎症と密接に関連する好中球の遊走にHMGB1が重要であることを突き止めた。それによりHMGB1による炎症促進機構の一つが同定されたと考えられる。また、HMGB1を標的とするデコイ核酸ISM ODNが、種々の炎症モデルで病態を抑制する機構にも、好中球集積の低下が関与するという知見を得た。すなわち、DAMPsとして知られているHMGB1の機能の一端を明らかにできた。 また、新規DAMPsの同定についても成功しており、免疫抑制性DAMPとしてPGE2を同定した。臓器障害やがんの増大に重要であることを明らかにし、一連の結果を論文として発表している。またさらに、死細胞から放出される新規炎症性DAMPを同定し、その機能解析を進めており、予定以上の成果が出ている。 IMF002の標的であるsnRNAがマウス、ヒトにおけるSLE、関節リウマチの血清中で有意に増加することを見出し、IMF002がこれらの疾患モデルで病態を抑制することを突き止めている。snRNAのトランスジェニックマウス及びコンディショナル欠損マウスを作成し、このsnRNAの炎症誘導の分子機構を解析しており、これらの病態発症、増悪のメカニズムの一端が明らかにできるものと期待される。 腸管恒常性の維持においては、胆嚢由来SP-Dが腸管内で細菌叢を制御することにより消化管の恒常性が維持されていること証明し、今年度論文発表した。 また、C型レクチン受容体についてがん細胞排除への関与については、予定通りDectin-2、Mincle、Mclを検討し、Kupffer細胞に特異的に発現するDectin-2を介して肝転移がん細胞を貪食し排除するという機構を新たに見出し論文として公表した。 このように、新知見が多数得られている状況であり、本研究課題の予定期間内において、さらに発展が見込める状況である。よって、上記のように判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策について、基本的には申請時の研究計画に沿って推進する。新展開が見られた際、または技術的困難が生じた場合には、代替法の検討などにより、適宜解決し、研究を推進していく予定である。これまでのところでは検討を進める上で大きな支障は生じていない。 HMGB1と炎症との関わりについては、HMGB1による好中球の遊走促進の病態モデルにおける重要性について検討していく。HMGB1の機能を阻害するISM ODNについても、病態の抑制と好中球の遊走との関連について検討を進めていく予定である。炎症促進性の新規DAMPsについて、その機能解析を進めており、ノックアウトマウスの作成を進めていく予定である。 ncRNAについてはノックアウトマウス、トランスジェニックマウスの作成が完了したことから、マウス個体を用いて、病態モデルにおけるncRNAの役割について検討を進める。胆嚢由来SP-Dが腸管内で細菌叢を制御することにより消化管の恒常性が維持されていることがわかった。本研究から派生した課題として、胆嚢由来の他の抗菌分子の解析、SP-D欠損によってもたらされるdysbiosisがどのような機構で腸管組織恒常性の破綻を来たすかについての解析、などを検討していきたい。Dectin-1キメラマウスについても、免疫監視、恒常性維持との関連について、検討を進めていく予定である。 一連の検討を通して、免疫系による恒常性維持システムの解明とその制御法の開発により、疾患の治療基盤の確立を目指していく。
|
Assessment Rating |
Result (Rating)
A: Progress in the research is steadily towards the initial goal. Expected research results are expected.
|