分子レベルでの膜構造変化から迫る力学的要因による溶血メカニズムの解明
Project/Area Number |
15J05070
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Biomedical engineering/Biomaterial science and engineering
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
重松 大輝 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2016-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2015)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2015: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | リン脂質二重膜 / コレステロール / 分子動力学シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
コレステロールを含むリン脂質二重膜と含まない膜に対して,様々な速さで引張を与える分子動力学シミュレーション(MDS)を行った.その結果,コレステロールを含む膜かつ引張速さが遅い場合のみ膜の指組構造ゲル相への相転移が起こることが明らかになった.また,孔形成に必要な面積ひずみは引張速さの増加とコレステロールの含有のそれぞれの影響とそれらの交互作用効果を受けることが統計的に明らかになった.孔形成の初期段階である水分子の膜内への侵入のしやすさが引張による膜の相転移でどのように変化するかを明らかにするために,引張を受けた膜の水分子透過性を見積るMDSを行った.水分子透過性は引張に伴って,増加するが,膜の相転移が起こると,急激に減少した.このことから,引張による膜の相転移は水分子の膜内への侵入を妨げ,孔が形成しにくくなることが示唆された.秩序液相のリン脂質二重膜が引張を受けることにより指組構造ゲル相へ相転移するメカニズムを記述する数理モデルを構築した.数理モデルから予想された引張による膜面積の増加に伴う相転移進行度合いの変化は前述の引張シミュレーションから得られたものと一致した.本モデルは,膜の力学特性とその周囲の力学的環境がどのような場合において指組構造ゲル相への引張による相転移が起こるかを推測する上で有用となると考えられる.以上から,引張による相転移の詳細を明らかにするとともに,それが孔の形成に与える影響を明らかにした.このことから,赤血球膜破断の初期段階である孔の形成の分子レベルでのメカニズムが明らかになった.また,平成28年度行う予定であった膜破断の第二段階である孔の成長に関しても,成長のしやすさを決める膜の材料定数である孔壁での線張力係数の推定をMDSを用いて行った.その結果から,コレステロール分子には線張力係数を増加させ,孔の成長を妨げる働きがあることを分子レベルで明らかにした.
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)