Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
電気的外力により駆動される流動現象として,EHD (Electrohydrodynamics)流れが知られている.一般に,電気的に中性である電解質溶液を帯電させるためには,少なくとも数10Vの印加電圧が必要とされてきた.本研究では,陰イオン交換膜を用いた独自の機構によって低電圧の印加でもイオンの偏在を可能とし,電解質溶液中におけるEHD現象を解明することを目的とする.実験では水溶液で満たされたリザーバの中央を,流路を設けた陰イオン交換膜によって仕切り,膜の両端に電圧を印加する.溶液中のイオンは電気泳動と拡散によって移動するが,膜に比べて断面積が100分の1となるよう設計された流路部分に陽イオンが集中しEHD流れを誘起することが期待される.NaOH水溶液に2.2Vの直流電圧を印加することにより、最大で数mm/sのEHD流れが駆動されることを確認した.しかしながら,観察された流れは電圧印加開始から10sほどで減衰した.これは初期に一様分布した陽イオン(Na+イオン)は,イオン電流の発生とEHD流れの生成に伴って負極側(下流側)リザーバへ移動して偏るため,正極側から負極側への流れが減少すると考えられる.そこで,電解質溶液と電極をそれぞれCuSO4水溶液とCu電極に変更した実験を行った.電圧を印加すると正極では電極が酸化されて溶液中にCu2+イオンが生成され,負極ではCu2+イオンが還元されて銅が析出するためCu2+イオンが定常電流を生成すると期待される.実験では、1.3Vの電圧を印加すると流路内の溶液の流速は徐々に増加して電圧印加開始から40sほどで50μm/sに達し,その後およそ200sまでの間30~60μm/sの流速を維持した.以上より,定常電流を担うイオンと,溶媒の流れを牽引するイオンの極性が同じである場合に定常的なEHD流れの駆動が可能であることが明らかにされた.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Japanese Journal of Applied Physics
Volume: 56 Pages: 097201-097201