Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
ムンプスウイルスの特徴的な組織指向性の分子基盤を明らかにすることを目的として、ウイルスの受容体結合蛋白質であるHN(Hemagglutinin-Neuraminidase)蛋白質と、受容体であるシアル酸含有糖鎖との相互作用について解析した。まず、ムンプスウイルスHN蛋白質のヘッドドメイン単独、および、HN蛋白質ヘッドドメインとシアル酸含有三糖(3’-sialyllactose、受容体アナログとして結晶中に含ませた)との複合体のX線結晶構造を決定した。次に、熱力学的解析により、ムンプスウイルスHN蛋白質とシアル酸含有糖との結合力を定量した。また、ヒトの呼吸器に存在するシアル酸含有糖鎖の主要な末端構造と骨格を網羅したグリカンアレイを用いて、HN蛋白質との結合解析を行った。さらに、シアル酸より基部の糖鎖部分との結合を減弱させるような変異をHN蛋白質に導入し、ムンプスウイルスの糖蛋白質(HN蛋白質とFusion蛋白質)の働きによって起こる細胞融合にこの変異がどの程度影響を与えるかについて解析した。これらの解析の結果から、HN蛋白質はα2,3-結合型シアル酸を含む分岐の少ない単純な骨格の末端三糖と特異的に結合し、この糖鎖モチーフがムンプスウイルスの受容体として機能していることを明らかにした。この研究内容は、米科学誌「Proc Natl Acad Sci USA. 113(41): 11579-11584. 2016」に報告済である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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医学のあゆみ
Volume: 160 Pages: 522-527
Proc Natl Acad Sci USA
Volume: 113 Issue: 41 Pages: 11579-11584
10.1073/pnas.1608383113