ルソーの哲学的方法論の解明:歴史記述の問題を中心として
Project/Area Number |
15J06088
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
History of thought
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
淵田 仁 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 特別研究員(PD) (00770554)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2017)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2017: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2016: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2015: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 啓蒙思想 / 歴史叙述 / ルソー / 啓蒙主義 / 分析的方法 / 歴史記述 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度にあたる今年度は、ルソーの歴史叙述を包括的に検討するべく、『人間不平等起源論』といった政治的作品における歴史叙述の語りと『告白』といった自伝的作品における自己の歴史に関する語りの技法を明確にすることに努めた。分析枠組みとして、A・モミリアーノやポーコックらの歴史叙述論を踏まえながら、ルソーの語りの特殊性を浮き彫りにすることに努めた。 十八世紀フランスにおいて、ルソーの起源論は異様な作品であると言える。多くの研究が指摘しているように、この作品の方法は発生論的方法や系譜的方法と呼ばれるもので記述されていると見なされてきたが、その方法の内実について言及されることはなかった。ルソーの起源論の大きな特徴のひとつが、因果関係に基づく歴史記述の放棄である。不平等起源論』は断絶的な各段階の記述するのみで、歴史が変動する原因=起源については沈黙を守った。その理由は二つある。ひとつがホッブズや自然法学者たちの分析的方法に基づく自然状態論を批判する点にある。分析的方法は推論の連鎖によって基礎的な要素を発見するものであるが、ホッブズらのそれも人間を分析し、その分析結果から自然状態を構築し、そこから現在を再構成することを目的とした。ゆえに、ルソーは内的感覚によって自然状態を措定し、そこから現在への移行を新しい方法で記述することを目指したのである。そしてその新しい方法の思想的源泉がビュフォンの地球論であるということを示した。ビュフォンから着想を得ることで、ルソーの歴史の語りは因果的説明ではなく、文体的な技法を用いつつ諸事実を提示していくというものになった。ここに前年度の研究対象となったエミールと歴史家の関係性と同種のものを見いだすことができる。このように考えた場合、『不平等起源論』を単に分析的方法とは異なる発生論的方法と呼ぶことは、このテクストに賭けられた本質を見誤ることになってしまう。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Report
(3 results)
Research Products
(10 results)