Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
今年度は、調査地区である首都ルサカ市のスラム地域(ムテンデーレ地区)で急伸している「低学費私立園」の運営実態と保護者の学校選択行動の論理を明らかにするため、昨年度に引き続き低学費私立幼稚園の経営者、教員及び児童の保護者に対する半構造化インタビューと授業観察を実施した。また、それらの機関で提供されている教育の質について理解するために授業の参与観察も実施した。さらに、世帯収入、保護者の職業・学歴と教育期待、兄弟数、児童の障害の有無などの属性と、保護者の子どもに対する就学前教育選択(通学させる・させない、就学前教育機関間の選択)の傾向の関係性を明らかにすることを目的とし、200世帯に対する質問紙調査も併せて実施した。インタビュー調査結果の内容分析を行った結果、都市貧困地区における低学費私立幼稚園台頭の需要側面の要因として、保護者の子への教育期待、就学前教育需要の高まりの他に、保護者の間で公立小学校や幼稚園で提供される教育の質に対する強い不信感があることを確認できた。他方で、低学費私立幼稚園では狭く安全・衛生管理の不十分な過密教室で教師による知識伝達型の授業が展開されているケースが多く、必ずしも保護者の認識どおりに質の高い教育が展開されているわけではないことも明らかになった。また、低学費とはいえ、公立園に比べ保護者の費用負担が大きい私立幼稚園への参加は、最貧層にとっては困難であり、失業、病気、怪我等による家計状況の悪化により中退せざるを得ない場合も少なくない。このように、アクセスと質の両面で、市場原理に依拠した都市貧困層に対する就学前教育普及政策の課題が浮き彫りになった。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Comparative Education Review
Volume: 印刷中
International Review of Education
環境研究
Volume: 177 Pages: 42-51
Global Environmental Research
Volume: 19(2) Pages: 173-180