Project/Area Number |
15K05989
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Research Field |
Electronic materials/Electric materials
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
高嶋 授 九州工業大学, 生命体工学研究科(研究院), 准教授 (10226772)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2015)
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Budget Amount *help |
¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2017: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2016: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2015: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | 有機半導体 / 導電性高分子 / 薄膜 / 異方性 / 偏光 |
Outline of Annual Research Achievements |
浮遊薄膜形成(FTM)法における薄膜形成機構を解析するための研究を行った。今年度はFTM法によって得られる導電性高分子膜の配向度評価を行った。FTM法における浮遊膜の形成機構を理解するうえで得られた薄膜の配向分布や配向度を評価することは、本研究の目的を達成する上で特に重要な知見を与える。 今年度の成果として、立体規則性を制御せずに重合して得られるポリ3-ヘキシルチオフェン(Non-regiocontrolled P3HT:NR-P3HT)が、動的FTM成法により極めて容易に高配向な浮遊薄膜を形成することがわかった。この材料は合成過程の観点から簡易かつ安価なため単一ロットの大量合成が可能であり、当該研究を推進する上で機構解明に重要な因子を探索するためには優位な材料である。合成した材料は構造評価により、既報のNR-P3HTとほぼ同様の立体規則性を有する重合体であることを確認した。 配向度を誘起する主因子として液状基板の粘性に着目した。粘性の異なる液体として、水(粘度:1mPa.s),エチレングリコール(16mPa.s),グリセリン(1420mPa.s)を選定した。得られた浮遊膜は液状基板により膜厚と配向度に違いが見られた。そこで2液体の混合で調整した様々な中間粘性液状基板を用いたところ、特定の混合液状基板で配向度7の高配向膜が得られた。AFM像から光学配向軸に沿った明瞭なNR-P3HTの配向ドメインが確認できた。高配向NR-P3HT薄膜の積層膜を用いて汎用FTIR装置で偏向解析を行ったところ、既報論文と同様の偏光スペクトルを得た。 以上の結果により、FTM法で得られた配向膜を用いることで、高額な顕微FT-IR装置等を必要とせずに、簡易にかつ迅速に導電性高分子の主軸と側鎖に関した配向構造情報を廉価に得られることを実践的事例として示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
導入した高速度カメラによる成膜形成過程の解析では、溶液の滴下後に生じる液状基板上での溶液の展開とそれに伴う浮遊膜の凝集化や移動を経て浮遊膜が形成されるまでの過程をモーションイメージとして収集・解析した。例えば使用した液状基板の温度と溶液の展開速度の関係が判明した【部分課題の達成】。以上の結果を基にして、液状基板の粘性の違いから得られる浮遊膜の配向度の変化についての研究成果を得ることができた【部分課題の達成】。 形成膜の配向度の空間分布計測については、導入した個々の装置による配向状態の評価能については既に確認を行った。例えば、光ファイバガイド型の吸収スペクトル装置による偏光スペクトル測定の確認を行った【部分課題の達成】。空間マッピングにおいては、手動による転写基板のX-Y駆動の動作確認を行った。【部分課題の達成】。一方で、これらの個々の装置を連動させて空間マッピングを行うための自動データ収集システムが年度内に完成しなかった。 【部分課題の遅延】。 以上の結果から、当初計画より若干の遅延状態にあると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度(平成27年度)の部分課題として、配向状態の空間マッピングの収集システムの確立が遅延している状況にあり、本件の解決をすすめる。一方で、本研究の主目的である「FTM法で得られる浮遊膜の形成機構と高分子半導体膜の配向化機構の解明と電子物性との相関性」を迅速に行うため、浮遊膜の成膜機構解明に向けた研究実験を平行して進めていく。 当面の研究として本年度(平成28年度)は、P3HT以外の高分子半導体を用いた浮遊膜内での高配向化技法を探求することを主たる研究課題と位置付けて研究を行う。特に高い移動度が期待される高分子半導体材料,pBTTT,を主たる研究対象用の材料として選定し、動的なFTM法によるpBTTTの高配向化と高移動度化を目指す。 低分子系有機半導体材料は静的なFTM法により薄膜化が期待できる。極めて高い移動度が報告されている低分子半導体を対象材料として、これらの材料の薄膜形成への静的FTM法の適用性を調査する。得られた薄膜を電界効果トランジスタ(FET)に組み込み、薄膜の電子物性(移動度)を評価することで、高移動度低分子有機半導体へのFTM法の適用性について調査する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
アルゴンガスや活性炭マスクなどの備蓄にそぐわない消耗品を逐次購入する必要があり、これらの購入に持ち越し経費を充当する。また、当該研究で長期使用している測定機器の消耗品(交換バルブや測定用短針など)等の購入経費に充てる。
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