Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
今年度は、(1)量子もつれ光子対に関して励起子微細構造分裂に対する量子状態生成の許容度について精査し、また(2)生成された量子光を効率良く運搬するために単一モード光ファイバ(SMF)内蔵型の冷却装置を構築し駆動検証を行った。1) 微細構造分裂量の異なる量子ドットを幾つか選別し、個々のドットにおける励起子分子-励起子カスケード光子対の偏光状態について調査した。結果として数マイクロeVの半値幅(許容幅)を持つ狭いローレンツ型の依存性が見られ、またその結果はドット本来の発光自然幅と良い一致であることが示唆された。この結果は可視域(ガリウムヒ素ドット)にて行った原理検証ではあるものの、得られた知見は材料系問わず一般的なものであり、それゆえ通信波長帯域での量子ドットもつれ光源開発に向けても良い指針になると考える。2) 量子光の評価において、特に1ミクロン以上の比較的長い波長帯域ではSMFでの伝送が基本となるが、一般的な顕微光学装置では一度自由空間中へと放出された光を再度ファイバモジュールでSMFへと結合する必要があり、光損失が比較的大きい。そこでドット光源およびファイバ集光モジュールを一つの系として組み込んだ冷却装置を構築することで量子光伝送の高効率化を計った。結果としてSMF集光効率40%以上での駆動を実証し、また寒剤(液体ヘリウム)中にて動作する本装置は冷却振動を原理的に受けず長時間安定駆動が可能であることが確認された。これらは測定技術の向上のみならず通信への応用の意味でも重要な成果と考える。今回はバルクタイプのドットを用いた実験であるが、微細加工等による光源自体の高効率化によって更なる観測精度の向上が期待され、現在検討を進めている。
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Applied Physics Express
Volume: 9 Issue: 3 Pages: 032801-032801
10.7567/apex.9.032801
120005972930
http://nanophoto.es.hokudai.ac.jp/main.html