X線精密分光で解明する衝撃波における粒子加速の初期過程
Project/Area Number |
15K17657
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Field |
Particle/Nuclear/Cosmic ray/Astro physics
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
澤田 真理 青山学院大学, 理工学部, 助教 (00633281)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Project Status |
Discontinued (Fiscal Year 2016)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2017: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2016: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2015: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | ひとみ / ASTRO-H / 超新星残骸 / 精密分光 / 銀河団 / 宇宙線 |
Outline of Annual Research Achievements |
第二年度は「ひとみ (ASTRO-H)」衛星による超新星残骸の観測データをもちい,精密分光器SXSで得た輝線スペクトルから熱的粒子と超熱的粒子の存在量を,硬X線撮像器HXIで得た硬X線連続スペクトルから非熱的粒子の存在量をそれぞれ決定し,初期加速とフェルミ加速の効率に制限を与える研究計画であった。実際の研究実績は以下のとおりである。 「ひとみ」衛星は本課題第一年度末に通信不通となり,第二年度初頭に運用断念に至った。若干の観測データは得られたものの,初期運用期間であったため,衛星そのものの運用や各観測装置の初期較正が主であったこと,この期間に本研究のターゲットである熱的プラズマをもつ超新星残骸の十分な観測が行われなかったことなどの理由で,本来の計画にもとづく研究遂行は不可能となった。一方で,得られた観測データには,天体種こそ異なるが,ペルセウス座銀河団のSXS精密スペクトルが含まれた。そこでこれをもちいて本研究課題を部分的に遂行することとした。なおこれは研究計画であらかじめ準備していた代替案である。 ペルセウス座銀河団の観測はSXS立ち上げ直後に行われたため,データプロセス,較正,解析のいずれにおいても,定常観測期間で得られるデータとは異なる処理などが必要となった。さらに,精密スペクトルから物理量を引き出すための放射モデルも,SXSによる実観測データとの比較から,多数の改善点が浮き彫りとなった。これらをすべてに対応することが研究遂行上まず必要であったため,本年度は複数の「ひとみ」コラボレーション内の国際ワークショップに参加し,解決にあたるとともに,複数の初期成果をコラボレーション名義で出版した。そのうえで,年度末にペルセウス座銀河団のSXS精密スペクトルから実際に超熱的電子の存在量を推定する解析を行うまでに至った。現在は追加解析を行うとともに結果の出版に向けた作業を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
第一に,第一年度の実施報告でも書いたとおり,「ひとみ」衛星の打ち上げそのものが申請時のスケジュールから約半年間遅延したこと。第二に,衛星が初期運用中に失われ,残存するデータを活用することになったが,定常運用とは異なるため,データプロセス・較正・解析において,数多くの追加処理・新規手法確立が必要となり,その作業に時間を取られたこと。第三に,早期衛星運用終了という予期せぬ事態をむかえ,限られたデータをもちいてサイエンスを最大限に導出するために,データライツ・役割分担・成果発表などの進め方に関してコラボレーション内で議論を重ねた際に,共通理解と合意の形成に予想外に時間を要したこと。
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Strategy for Future Research Activity |
まずペルセウス座銀河団をもちいた結果の早期出版をめざす。また,計画時に想定していたもう1つの代替案である,XMM-Newton衛星のRGSなどの分散型分光器によるデータを利用しての超新星残骸での超熱的粒子存在量の制限にも挑戦する。ただし,これは広がりの小さな残骸の,軽い元素からの輝線スペクトルにのみ適用可能な方法であり,いずれにしても本研究は当初の計画から目標を縮小して遂行することになる。「ひとみ」と同様の精密分光を行う将来衛星計画を念頭に,これまで準備した放射コード・モデルと,「ひとみ」精密スペクトル解析の実績を反映し,シミュレーションや解析手法の改善を行う。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
「ひとみ」で取得した精密分光スペクトルの解析において残存する放射モデル由来の不定性を可能な限り低減するため,共同研究機関の1つである米国ローレンスリバモア国立研究所での地上プラズマ実験装置をもちいたX線放射測定実験を追加で計画している。その旅費などとして使用する予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Temporal Gain Correction for X-ray Calorimeter Spectrometers2016
Author(s)
Porter, F. S.; Chiao, M. P.; Eckart, M. E.; Fujimoto, R.; Ishisaki, Y.; Kelley, R. L.; Kilbourne, C. A.; Leutenegger, M. A.; McCammon, D.; Mitsuda, K.; Sawada, M.; Szymkowiak, A. E.; Takei, Y.; Tashiro, M.; Tsujimoto, M.; Watanabe, T.; Yamada, S.
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Journal Title
Journal of Low Temperature Physics
Volume: not assigned
Issue: 1-2
Pages: 1-6
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] 「ひとみ」SXS 精密分光による銀河団プラズマの新X線スペクトル構造探査2017
Author(s)
澤田真理, J. Kaastra, L. Gu, 赤松弘規, J. de Plaa, C. de Vries, R. Smith, A. Foster, 小高裕和, M. Leutenegger, M. Markevitch C. Kilbourne, 山口弘悦, G. Brown, F. Paerels, 太田直美, 田村隆幸, 中島真也, 上田周太朗, 松下恭子, 佐藤浩介, R. Mushotzky, 大橋隆哉, ほか「ひとみ」コラボレーション
Organizer
日本天文学会2017年春季年会
Place of Presentation
九州大学
Year and Date
2017-03-15
Related Report
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[Presentation] Atomic data and spectral modeling constraints from high-resolution X-ray spectroscopic observations of the Perseus cluster with Hitomi2016
Author(s)
M. Sawada, J. Kaastra, L. Gu, H. Akamatsu, J. de Plaa, C. de Vries, R. Smith, A. Foster, H. Odaka, M. Leutenegger, M. Markevitch, C. Kilbourne, H. Yamaguchi, G. Brown, F. Paerels, N. Ota, T. Tamura, S. Nakashima, S. Ueda, K. Matsushita, K. Sato, R. Mushotzky, T. Ohashi, and Hitomi Collaboration
Organizer
7 years of MAXI : monitoring X-ray transients
Place of Presentation
理化学研究所
Year and Date
2016-12-05
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