野外群集動態を定量する新規な統計的手法の開発とその適用による多様性維持機構の検証
Project/Area Number |
15K18617
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Field |
Ecology/Environment
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
深谷 肇一 統計数理研究所, データ科学研究系, 日本学術振興会特別研究員 (30708798)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2016-03-31
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Project Status |
Discontinued (Fiscal Year 2015)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2018: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2017: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2016: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2015: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 群集動態 / 岩礁潮間帯 / 統計モデリング / 空間構造 / 観測誤差 |
Outline of Annual Research Achievements |
固着性生物の群集動態を表す基本的なパラメータは、付着基質上の占有状態の推移の起こりやすさを表す推移確率である。推移確率の推定は原理上は簡単であり、多数の定点において空間を占有する種の入れ替わりの頻度を測定すれば求められる。しかしながら、観測時に同一の位置が正確に再測定されないという観測誤差がある場合には、推移確率の推定はより困難である。このような状況では、観測された「状態の推移」が必ずしも定点上の状態の推移を表さないためである。 本研究では、調査定点近傍の局所的な群集構造が観測誤差を伴う観測データの確率分布に関連することを仮定した統計モデルを構築し、観測誤差の存在下で推移確率を推定する新しい解析手法を検討した。コンピュータシミュレーションによる仮想データを用いた解析を行い、観測誤差が生じる状況において、観測誤差はないものと仮定した従来の推定方法に比べて、提案手法の推定は偏りが少ないことを確認した。また、北海道東部太平洋沿岸で得られた岩礁潮間帯の固着性生物群集の時系列データから推移確率を推定した結果、従来の方法と提案手法の間で推移確率の推定値に無視できない違いが生じることが明らかとなった。従来の解析では状態の存続確率が過小評価され、結果として群集の平均回転率や撹乱からの回復速度が過大評価された。このことは、野外の群集動態の特性を理解する上で観測誤差を考慮した推測が不可欠であることを示している。構築した統計モデルは、推移確率と同時に観測誤差率や群集構造の空間相関のスケールを定量できる。また、これによって局所的な群集構造が群集動態に及ぼす影響を新たにモデル化できるようになることから、固着性生物群集の構造と動態を明らかにするための有用なツールとして広く利用できる。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)