Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究課題では、MSMD(mendelian susceptibility to mycobacterial diseases)患者を対象に既知の責任遺伝子群の解析、次世代シーケンサーを用いたエクソーム配列解析による新規責任遺伝子の同定、慢性再発性多発性骨髄炎(CRMO)患者を対象にMSMDの責任遺伝子群の解析を試みたが、研究期間の短縮のため、多発性骨髄炎を認めるMSMDの1家系5症例において、STAT1新規遺伝子変異(G250E)を同定できたのみであった。本変異は慢性皮膚粘膜カンジダ症(CMCD)をフェノタイプとする症例で報告が多いCoiled Coilドメインに変異を認めていたが、これまでに報告されているMSMD-STAT1異常症と同様にIFN-γ刺激に対するGAS転写活性の優性阻害効果を認めた。本症例では病変部よりBCGが検出されており、GAS転写活性の障害による細胞内寄生菌(マイコバクテリウムやBCG)への易感染性が示唆された。MSMD患者における多発性骨髄炎の病態解析に関しては、これまでに当院で同定しているMSMD患者(STAT1異常症、IFNGR1異常症)の末梢血より分離したCD14陽性細胞を用いて、破骨細胞への分化を確認した。IFN-γ存在下で、正常検体では破骨細胞の分化が抑制されたが、患者検体ではIFN-γ存在下でも破骨細胞の分化は抑制されず、IFN-γシグナル伝達障害による破骨細胞の活性化が示唆された。