Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究では、アルツハイマー病等を含む認知症の診断への応用を目指し、脳PET画像の新しい解析法の開発を進めてきた。研究代表者の身分変更に伴い1年間余での中途終了となったため、予定していた実臨床における診断能の評価や成果発表等を行う事はできなかったが、臨床応用可能なPET画像補正処理システム(VANUC法)を構築することに成功した。分解能の低いPET画像では画像上で近くにある異なる組織の集積が混じり合う部分容積効果が生じてしまう。その影響を補正する様々な手法が開発されてきたが、近くに不均一な集積が存在すると、その影響を効果的に取り除くことが難しい。そこで集積の不均一性を前提とした全く新しいアルゴリズムを考案し、数値計算ソフトウェアを用いて臨床画像にも応用可能な部分容積効果補正プログラムを作成した。既知の濃度の放射能を充填した模型(ファントム)を実際のPET装置で撮像し、その画像を用いて画像補正処理に必要なパラメータの設定を行った。コンピュータ上で再現したシミュレーションPET画像に対してVANUC法による補正を行ったところ、意図するような画像補正が可能であり、補正の妥当性を確認した。さらに、不均一な集積分布を再現したシミュレーションでは、modified Muller-Gartner法等の既存の手法に比べて集積の不均一性により受ける影響が少ない事が示唆された。東北大学の倫理委員会の承認下で、実際のヒトの脳FDG PET画像を用いて、VANUC法の検証を行った。その結果、元のPET画像の画質に依存してアーチファクトを生じ得る事が明らかになったが、プログラムの改良と必要なパラメータ設定により解決した。また、処理フローの見直しにより、処理時間を全体で1時間未満に短縮し、臨床にも応用可能なシステムを構築することに成功した。
All 2016
All Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)