Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究では、TIARPの関節炎抑制機序を明らかにし、RAの新規治療法の開発に有用な機能部位を明らかにすることを目的としている。TIARP欠損マウスはK/BxN血清移入関節炎病態が増悪し、好中球除去により著明に関節炎が抑えられた。TIARP欠損好中球ではCXCR1/2の過剰な発現を認め、CXCL2への細胞遊走能が亢進していた。更にTNFα刺激したTIARP欠損滑膜細胞からのCXCL2およびIL-6発現亢進を認めた。更にIL-6受容体抗体を投与したTIARP欠損マウスでは関節炎病態が軽減し、好中球遊走が著明に抑制されていた。一方でTNF受容体阻害剤では差は認めなかった。このことからTIARPはIL-6に依存した好中球、滑膜細胞のCXCR1/2-CXCL2の抑制を介して関節局所への好中球遊走を阻害することが明らかとなった。更にTIARPの炎症抑制機能部位を明らかにするため、レンチウイルスベクターを用いてTIARP、2種類の変異体(N末端欠損型、exon3欠損型)を樹立した。TIARP導入細胞はIL-6産生が顕著に抑えられたが、N末端およびexon3欠損型TIARP導入細胞では抑制されなかった。このことからTIARPはN末端およびexon3部を介して、IL-6産生を抑制していることが明らかとなった。更にTIARPをターゲットとした治療を目指して、agonistic作用のある抗TIARPモノクローナル抗体の樹立を目指し、TIARP KOマウスにTIARP過剰発現細胞を免疫し、リンパ節細胞とミエローマ細胞とのハイブリダイゼーションを行い、TIARP反応性の29個のモノクローナル抗体産生株が得られた。今後は、agonisticあるいはantgonistic抗体を探索することとしている。このようにTIARPは好中球遊走ならびに炎症性サイトカイン産生を負に制御する分子であることが明らかとなった。agonisticな抗TIARPモノクローナル抗体による知見が得られれば、今後の関節リウマチをはじめとする炎症性疾患の新規治療ターゲットとなりうる可能性がある。
All 2015
All Presentation (3 results)